「記者アンカー」の栄枯盛衰 変わる米国のニュース報道番組
2018.08.26 18:00    ■前嶋和弘
https://thepage.jp/detail/20180826-00000002-wordleaf
重かったかつてのアンカーの言葉
アンカーという仕事の代名詞ともいえる「CBSイブニングニュース」のウォルター・クロンカイトの場合、
1962年から1982年まで約19年間アンカーを務めた。「アメリカでもっとも信頼される人物」という代
名詞もある。クロンカイトは報道特別番組も担当し、ケネディ大統領暗殺(1963年11月22日)を
伝えるニュース映像は、今でも頻繁にドキュメンタリーなどで引用されている。
 アンカーの発言も非常に重みがあった。クロンカイトは普段は穏やかな口調で私見を交えずに報
じたが、ベトナム戦争の分岐点とされている北ベトナム軍による大攻勢となった「テト攻勢」(1968
年1月30日)直後のベトナムを自ら取材した際の特別番組では「戦争は膠着状態になるのは明白」
「さらなる介入は大失敗になる」などとベトナム戦争を進めるジョンソン政権を痛烈に批判した。その
直後、ジョンソン大統領は「クロンカイトの支持を失ったことは、大多数の国民を失ったようなものだ
(“If I've lost Cronkite, I've lost Middle America.”」)と発言したとされている。