「東京がアジアのイノベーションハブになる」中国人ビジネスマンが東京で起業した理由
ttps://www.newsweekjapan.jp/yukawa/2018/12/post-17.php
──十分に市場が大きいのに競争が激しくない。起業するには、すばらしい市場だということですね。では2つ目の人材集めに
有利だという話はどうなんでしょう。中国には理系の学生が年間何百万人も卒業しているという話を聞きます。人材集めは中国の
方が有利に思えるんですが。

ドン氏
中国の大学の理系の卒業生は年間400万人。日本の理系卒業生数とは桁が一つ違います。ただ人口も日本の10倍なんで、
特にエンジニアが余ってるわけでもありません。その証拠に、北京、上海、深センなどの大都市のエンジニアの年収は、
日本円で1000万円以上です。エンジニアは東京より高給取りなんです。

──それなら日本企業が中国人エンジニアを雇うのって余計に難しいですよね。

ドン氏
金額ベースでは中国の方が上かもしれませんが、可処分所得ベースで考えると東京で就職した方が有利なんです。例えば北京、
上海のマンション価格は、東京の倍です。もしいい車に乗りたいのなら輸入車ということになりますが、輸入車の価格も東京の倍。
もし食にこだわる人で、日本の米を食べたいのなら、東京の2倍から5倍の値段を払わないといけない。出産費用もそう。綺麗な
私立の病院で産みたいのなら数百万円かかります。私自身、風邪をひいて外資系の私立病院に行ったら、保険適応外になるので
10万円請求されました。子供をインターナショナルスクールに入れるのなら300万円以上かかります。日本の教育は公立でも
素晴らしいレベルですよね。

中国で年収1000万円あったとしても、日本と同じようなライフスタイルを送ろうとすると、お金が全然足りません。また中国で
どれだけお金を稼いでも、中国の大都市の大気汚染、水質、渋滞からは逃げれられません。

──ドンさんの会社では、エンジニアは中国から採用したのですか?

ドン氏
従業員30人ほどの小さな会社なんでエンジニアは6人しかいませんが、全員中国人です。うち5人は中国から呼び寄せました。
東京での生活環境の話をしたらみんなびっくりして、中国の給与相場より低い金額で来てもらいました。

(続く)