外国人労働力の受け入れは2025年からでも間に合う
拙速な議論は将来に禍根を残す
島澤 諭 (中部圏社会経済研究所研究部長)
ttp://wedge.ismedia.jp/articles/-/14533
 以上のような本試算に対して、法務省の試算は、試算の前提が異なるにもかかわらず、足元の人手不足数はほぼ同数と
なっているが、法務省が示した人手不足の見込み数は14業種に限定されていることもあるからか、5年後の人手不足見込み数
は控えめな数字となっている。意地悪な見方をすれば、外国人労働力導入がいかに切迫しているかを示すために足元の数字
は大きく見せ、しかし、外国人が増えすぎることに対する国民の懸念を軽減するために将来の見込みは小さく見せているとも
受け取れる。やはり、法務省の試算はどのような前提条件を用いてなされたのか、建設的な議論をし、賛成派も反対派も納得
できる結論を得られるようにするためにも公表する必要があるのではなかろうか。
 ところで、法務省の提示する足元で58.6万人、5年後では145.5万人という人手不足の水準は、日本の国の形を変えるトリガー
を引いてしまうだろう外国人労働力受け入れに関して1カ月弱で是非を決しなければならないほど深刻と言えるのか、疑問を
持たれても不思議ではない。
 こうした疑問の一つとして、外国人労働力の受け入れの前に、女性や高齢者など日本人の労働力化を促進し、それでもなお
不足する分に関して、外国人を導入すればよいとの主張がある。

 以下では、これまで安倍内閣が採用してきたはずの「日本人労働力ファースト」の方針を踏まえ、女性や高齢者など
日本人の労働力化を促進することで、どの程度の労働力(就業者数)が生み出されるのか、以下の3つのケースについて
試算を行った。
    …(略)…
つまり、各施策ケースでは当該年以降外国人労働力の導入が必要となるが、最速のケース1でもまだ数年の猶予があり、
十分な議論を尽くしたうえで国民的合意を得てからでも十分外国人労働者の受け入れには間に合うだろう。
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(続く)