安倍政権が突然「外国人労働者受け入れ」に転換した分かりやすい事情
結局、目先の利益か…
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また、安倍政権は否定しているものの、今回の施策は事実上の移民拡大策だ。外国人労働者にも所得税や住民税の
負担義務がある中で、永住権を付与すれば、遠からず彼らの政治参加の議論に火が付くだろう。そうした事態に備えた
国民的なコンセンサス作りも避けて通れない。

総理演説が羊頭狗肉のものとなった原因は、タネ本とでも言うべき、日本経済研究センターのレポート「長期経済予測
『2050年への構想』最終報告:(https://www.jcer.or.jp/research/long/detail4723.html)が、実現のために必要だと
していた2つの具体策をそっくりカットしたからだった。

それは、「(出生率は1.4から1.8に引き上げるために)財政資金を毎年7〜8兆円を投じる」ことと、「今から徐々に移民の
受け入れを増やし、2050年以降はさらに加速して純流入者数を年20万人規模とする必要がある」ことだ。このうち移民
(外国人労働者)の議論が削除された背景には、安倍総理を取り巻く保守派の議員たちの猛反対があったことが原因
とされる。

そんな中で迫ってきたのが、今年9月の自民党総裁選だ。

選挙戦は、安倍総理と、立候補を表明している石破茂・元自民党幹事長との一騎打ちになるとみられている。そうした中で、
安倍総理の数少ない死角とされているのが、地方票の取りこぼしだ。

地方票は、農業や、建設分野の中小企業経営者など、保守的な自民党員が中心。この層は、いずれも深刻な人手不足に
見舞われ、外国人労働者の受け入れ拡大を強く求めているという。

こうしたことから、安倍総理がこれまでの頑なな姿勢を一変した背後には、総裁選で地方票の取りこぼしを防ぐ狙いがある
とみられる。

政策転換の入り口から大上段に振りかぶって「移民政策」と掲げて、いたずらに世論を刺激するのは得策でないという判断
が、安倍政権に働いていることは想像に難くない。

しかし、そうしたやり方は、総裁選で投票権を持つ自民党員の中では支持されても、国政レベルでは支持を得られず、
国民の不信を煽りかねない。