NTTドコモの「docomo with」は通信料から毎月1500円が割り引かれる施策だが、AQUOS senseはこれに向けた製品としてかなり売れそうだ。また、auでも端末割引しない代わりに、
通信料金が安くなる「ピタットプラン」が好調。安価な端末がユーザーに好まれる傾向が強まるなか、相性のいい端末として期待されている。
さらに、AQUOS senseはキャリアに加えて数多くのMVNOへ納入している。シャープが上手いのは、AQUOS RやAQUOS R compactといったハイエンドやコンパクトモデルを投入しつつ、
格安スマホ市場向けにも安価なモデルも揃えてきたという点だ。
一方、ソニーは4Kディスプレイを積んだ「Xperia XZ Premium」やハイエンドモデルの「Xperia XZ1」、ハイエンドコンパクトの「Xperia XZ1 Compact」といったプレミアム製品しか存在しない。
これは、ソニー全体として「安売りで販売台数を稼ぐ」といった考えから距離を置き、「高付加価値なプレミアムモデル」で勝負する路線を貫いた結果から来ているのだ。
今後、日本で格安スマホ市場が拡大していけば行くほど、プレミアム路線のソニーの販売台数シェアは下降の一途をたどっていくことだろう。
ただし肝心のプレミアム路線も、ユーザーに響いているかと言えば、かなり微妙だ。2017年、ここのところ「退屈」と言っていいスマホのデザインに大きな変化があった。
アップルが有機ELディスプレイを採用し、ホームボタンをなくして、筐体のほとんどがディスプレイという「iPhone X」を投入してきた。同様のコンセプトは、すでにサムスン電子「Galaxy S8」「Galaxy Note8」や、
ファーウェイ「Mate 10 Pro」、LGエレクトロニクス「V30+」なども採用している。
有機ELディスプレイは、業界のハイエンドモデルではすっかり「標準採用」になった。そしてまた、ソニーが強みと言ってはばからないカメラにおいても、iPhoneが2016年から導入した「デュアルカメラ」が
当たり前になってしまった。iPhoneもAndroidスマホの後追いで導入したデュアルカメラだが、ソニーはさらに遅れてしまっている状況だ。
他社のハイエンドスマホが軒並み「有機ELディスプレイ」「デュアルカメラ」のなかで、ソニー「Xperia」という存在は、いまだに数年前のデザインテイスト、そして機能面でも過去を引きずっており、周回遅れにさえ感じてしまう。