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http://diamond.jp/articles/-/151592?page=3
全国に広がる「ミニ・トランプ」
瓦解する共和党
 アラバマ州の補欠選挙が浮き彫りにする二つ目の論点は、トランプ大統領の誕生で進む共和党の内紛で
ある。これまでムーア候補は、共和党の主流派を公然と批判してきた。共和党の主流派からすれば、何とか
虎の子の一議席を死守したとしても、それは頼りにならない一票なのである。
 ムーア候補は、アラバマ版のトランプ大統領である。不法移民に対する強硬な姿勢で支持を集め、補欠選
挙の候補を選ぶ共和党の予備選挙では、党の主流派が推す本命候補を退けている。当時からムーア候補
を支援してきたのは、トランプ大統領誕生の立役者とも言われるバノン前首席戦略官であり、まるで2016年
の大統領選挙が再現されているかのようだ。
 だからこそ共和党は、税制改革の審議を急ぐ。なにしろ、税制改革を主導する共和党の指導部は、アラバ
マ州の予備選挙でムーア候補を葬り去ろうとしてきた張本人の集まりである。補欠選挙で負けるのも困るが、
たとえムーア候補が上院議員になったとしても、指導部の言うことを聞くとは限らない。12月12日の投票結果が
確定すると、早ければ12月26日には正式に新しい上院議員が就任する。そもそも共和党は年内に税制改革
の審議を終えることを目指していたが、先を急ぐ理由が加わった格好だ。
「アラバマ版トランプ」への共和党の心配は、目先の議会審議にとどまらない。本当の懸念は、これが来年11月
に行われる議会中間選挙の凶兆ではないか、という点にある。
 共和党が恐れるのは、ムーア候補のような「ミニ・トランプ」が各地で予備選挙に立候補し、支持者の足並み
が乱れることだ。実際に、バノン前首席戦略官は、共和党の主流派に楯突くような候補を、来年の予備選挙
で支援していく方針を明らかにしている。