通勤途上、国会そばの地下鉄永田町駅の出入り口辺りに、「アベ政治を許さない」と記された
ビラが落ちていた。いまだにこんなものがと一瞬驚いたが、つい最近も耳にしていることに
気が付いた。民進から除籍された長島昭久元防衛副大臣が記者会見で、そう叫ぶことを
求められると同党の体質を明かしていた。

思い起こせばこのフレーズは、平成27年には「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10
にも選ばれている。憲法学者やニュースキャスターらがスローガンとして持ち上げ、国会前
デモや集会などではプラカードが高々と掲げられたほか、電車内の広告上に違法にシールが
貼られていたことも。

ふと考えた。時の政権や首相に対し、国民や政敵が批判するのは至極当然だとしても、何が
そこまで許せないのだろうかと。24年の第2次安倍晋三内閣発足後、国内総生産(GDP)
が47兆円、雇用は170万人増加したことか。完全失業率が2・8%まで低下し、22年
ぶりに2%台となったことか。

それとも、大卒就職率が97・3%と政府が調査を始めた平成9年以降、最高を記録したこと
なのか。株価が旧民主党政権時代の2倍を超えて推移していることか。安倍首相がトランプ
米大統領から破格の厚遇を受けていることは、看過できないというのか。

冗談はさておき、「許さない」と唱え続けてみたところで、共感の輪は決して広がるまい。
まだやっているよと、受け流されるのがオチである。

感情をぶつけるだけのあおりやレッテル貼り、反対のための反対は、民心に響かない。
立憲民進党をはじめネット左翼には、そろそろそこを自覚してもらいたい。