グリーンスパンの真の評価  By ジョージ・ソロス ソロスは警告する(講談社)
経済の動きについての理解は、他のエコノミストとは比べものにならないほど深みがあったし、
自分の発言を使って市場を上手に操縦する方法を、よく理解していた。
 だが、自由放任主義的な作品で知られる作家アイン・ランドに触発された政治信条のせいか、
FRB議長としての職責を明らかに矛盾する発言を行うことも、たびたびだった。たとえばジョージ
Wブッシュ大統領がアメリカの上位1%を占める超富裕層向けの減税を行うと、これを支持したし、
財政赤字は裁量支出、それも福祉的な側面の強いものを削ることで達成すべきだと主張した。
これは個人的意見だが、FF(短期)金利を必要以上に長い間1%という超低金利にとどめて
おいたのは、2004年の大統領選で共和党を有利にするためだったと思えてならない。住宅バ
ブルに誰か責任者いるとすると、それはまずもってアラン・グリーンスパンなのである。


サブプラ危機で儲けていた現財務長官   By ジョージ・ソロス ソロスは警告する(講談社)
ファンドの運営から身を引いていたが、超バブルが成長しつつあることははっきり見てとることができた。
酷い結末を迎えるであろうことも容易に想像がついた。2006年に刊行して本でも、「酷いことが起
きる」という予測を、はっきりと述べている。投資業界は年寄りに耳を傾けるものと、新しい金融商
品や金融技法の使い方に夢中で、その力を妄信する若手とで真っ二つにわれてしまった。

もちろん、若手にも例外的に洞察力に長けた人物はいた。現財務長官である、ヘンリー・ポールソンな
どは好例で、彼はサブプライム住宅ローンのデフォルト保険を購入して、払い込んだ保険料の何倍にも
のぼる利益を上げている。私はポールソンをランチに招いて、そんな芸当の秘訣を問い質したことがある。