>>552

 このような状況下で、2001 年 7 月 12 日、アメリカによる人身取引報告書の批判があった。
それを受け、韓国政府は異例といえるほど敏感に反応した。

また、その当日、駐米韓国大使館はアメリカ国務省に強く抗議し「米国は人身取引報告書を
訂正しなければならない」と強調した 35。韓国政府がこのように敏感に反応し強く反発した理由
は 3 つ考えられる。

 第二に米軍基地周辺の売春問題である。1947 年、米国の圧力もあり韓国は公娼制度を法律
的に禁じるようになった。しかし 1962 年からの軍部独裁政権は、同盟関係の維持や外貨稼
ぎを目的として、全国 104 ヶ所の基地村を特定売春許可地域に指定していた。また基地村周
辺のクラブなどの風俗施設に対し免税などを適用していた。36
そして政権が変わっても韓
米同盟と安保の重要性は変わらないという雰囲気から、売春は暗黙裡に容認されてきた。一
節でも述べたように米軍による売春管理も行われていた。このような状況の中で、アメリカ
の一方的な批判に対する韓国側が反発したといえよう。