テーミス 2015年8月号
・菅義偉「郵政3社上場」で問われる真価‐民営化を陰で進めた菅氏に米国は「してやったり」
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 だが、小泉内閣当時、とくに第3次小泉内閣で竹中総務相兼郵政民営化担当相の下で、総務副大臣に就いた
菅義偉氏(現、官房長官)が、その頃から郵政民営化の“陰のキーパーソン”だったことは、意外と知られて
いない。ポイントとなる人事で、必ずといっていいほど菅氏の影がちらついていたのである。

 そして、今年のハイライトがさる4月23日に発表された、西室社長が兼任していたゆうちょ銀行社長に、
旧日本興業銀行出身で前シティバンク銀行会長の長門正貢氏を押し込んだことだ。さらに5月28日、ゆうちょ
銀行の運用部門の責任者に、ゴールドマン・サックス証券元会長の佐藤勝紀氏を迎えると発表した。

 今秋にも上場となる日本郵政親子3社の主幹事証券会社が決まったのが’14年10月1日、国内証券会社5社、
海外4社(ゴールドマン・サックス証券、JPモルガン証券、シティグループ証券、UBS証券)、国内特定区分2社。
 だが、このうちグローバル・コーディネーターといわれる4社(国内の野村證券、三菱UFJモルガン・ スタンレー、
海外のJPモルガン、ゴールドマン・サックス)が支配権を持ってくるといわれる。

 11社の主幹事証券会社は一定の株を引き受け、それを息のかかった会社や得意先にはめ込む。はめ込み先が
どこかによって、ゆうちょ銀行に対する主幹事証券会社の影響力を築くことができる。そしてもう一つが、 前述した
ように、ゆうちょ銀行に運用部隊を送り込んで、収益部門を牛耳り、会社を事実上、支配できる体制 になるという
ことだ。
 ビジネスモデルを描き切れないうちに上場したのは、外部の力を借りることを想定していたからではないのか。
そう疑わざるを得ない。
 しかし、菅氏がいくら安倍首相からの信任の厚い官房長官とはいえ、当選7回の氏が1人でこなせるものだろうか。
竹中氏と同様に米国系金融機関筋からの支援があるのか。