【ナチス極東軍 『蒋総統』 の大失敗】
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昭和十二年(1937)九月
 海軍の叔父が来た。さっそくいろいろ訊ねてみる。イギリスやフランスが蒋介石をあまり快く思っていないのは、
ドイツとの関係からだそうだ。欧州大戦に敗れたドイツは戦後の経済的な建て直しの一つに支那との貿易に
重点をおき、特に武器の輸出をしていた。その取り扱いや用兵術の指導のため軍事顧問団を派遣している。
 だから蒋介石軍はナチスと同じ武器を持ち、服装もドイツと同じなのだそうだ。だからヒトラーが欧州で
英仏相手に敵対的になるに及んで、英仏は蒋介石を快く思わなくなったらしい。

 蒋介石が日本に対して強気なのはドイツが後ろ盾だと思っているからだそうだ。ドイツの軍事顧問団は
上海にドイツ式の要塞まで作っている。だから日本軍と一戦交えて、北支から日本の勢力を一掃しようという計画
のようだ、と叔父はいう。

 父と叔父が盛んに情勢の分析をしている。蒋介石の軍事顧問はファルケンハウゼンというらしい。
ファルケンハウゼンは大軍を上海の包囲に動員するのに反対しているらしい、と海軍の諜報機関は把握している
とのことだ。もし上海の要塞戦で蒋介石軍が敗れるようなことがあれば日本軍はそのまま南京まで突進して
来るかもしれない、それはあまりにも危険だ、と説得しても蒋介石は強気一方だという。