英仏両国が年金改革や予算削減などの生活水準低下政策に本格的に取り組みはじめた。
これに伴って両国では激しいデモが起きているようである。フランスでは国民の67%がデモに
賛成しているという。両国の国民の考えは甘過ぎる。

英国の雑誌「エコノミスト」の巻末には各国の経済データが載っている。ドイツは大幅な貿易
黒字なのにフランスは貿易赤字。長期国債の金利も、同じユーロ圏なのにドイツよりフランスが
かなり高くなっている。国力の格差が国債の金利に既に現れているのだ。格付機関の格付けよりも、
この長期金利の格差の方がずっと信頼できるデータである。

ただ、フランスは高速鉄道や原子力発電や軍用機などの工業力が残っているだけまだマシである。
イギリスに至っては、国家を支えてきた金融業がリーマンショック以後大打撃を受けており復活の
目処が立っていない。更に悪いことには、北海油田・ガス田の枯渇が近づいている。

現在、欧州ではユーロ圏のアイルランドやギリシャの経済危機が大問題となっている。
ドイツ国民にアイルランドやギリシャを支援する意志が無い以上、これらの諸国の経済破綻は
避けられないだろう。そして、経済破綻はイギリス・イタリアといった大国まで及ぶだろうと私は
想像している。フランスは破綻はしないだろうが、衰退は避けられないだろう。
そして、ユーロは消滅してマルクやフランが復活するだろう。

貿易収支や国債金利に現れているように、英仏両国とドイツの国力には雲泥の差がある。
しかし、生活水準の差はほとんどない。そして、英仏は核戦力や空母といったドイツに無い
金のかかる軍事力を保有している。このような現状は決して持続不可能である。11月2日に
英仏両国は核実験施設と空母の共同利用計画に合意したが、これは軍事費を削減する
ための苦肉の策である。しかし、この程度では焼け石に水だろう。


どうしても英仏が核戦力や空母を保有し続けたいのならば、大幅な生活水準切り下げ以外の
選択枝はあり得ないが、贅沢な生活に慣れきった両国の国民にそれは不可能だろう。
最終的には両国の国民は大砲よりバターを選択し、核戦力と空母はドイツに売却されることに
なると私は予想する。