0623しいたけお
2016/09/28(水) 08:15:46.23ID:Hl3G5H9zhttp://www.sankei.com/premium/news/160919/prm1609190029-n1.html
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芝生にキノコが環状に生える不思議な現象「フェアリーリング」(妖精の輪)。その原因となる物質が、さまざまな植物の成長を促すことが分かってきた。穀物や野菜にも効果があり、食糧問題の解決につながるか注目を集めている。(草下健夫)
「妖精が作る輪」
フェアリーリングは芝生が輪のような形に色濃く繁茂したり、逆に枯れたりして、その跡にキノコが生える現象。西洋では妖精(フェアリー)がこの輪を作り、
その中で躍るという言い伝えがあり、この名前が付いたようだ。
17世紀の学術論文に記載されるなど古くから知られるが、芝の病気とされ、原因は謎に包まれてきた。国内でも公園などでみかけることがある。
ゴルフ場ではコースの品質を低下させる迷惑な存在だ。生えるキノコは約60種が知られる。
この現象の解明に挑んだのが静岡大の河岸洋和教授(天然物化学)。2004年、職員宿舎の芝生にコムラサキシメジという食用キノコが輪のように生えているのを見つけた。
研究人生の転機となるフェアリーリングとの出合いだった。
「なぜこうなるのか。誰かのいたずらかな」。疑問を抱きつつ、みそ汁に入れて食べてしまった。「キノコの専門家なのに、当時はこの現象を知らなかった」と苦笑しながら振り返る。
穀物収穫が大幅増
河岸氏らはキノコが特別な物質を作っているとみて研究を開始。コムラサキシメジの菌を培養して芝に与えてみると、よく成長した。分析した結果、菌に含まれる
「AHX」という有機化合物が芝の成長を促進することを06年に突き止め、フェアリーリングの原因を解き明かした。
AHXが天然物から検出されたのは初めて。成長を促す別の物質と、逆に抑える物質も菌から発見し、計3種類の成長調節物質を見つけた。
フェアリーリングができる仕組みはこうだ。キノコの菌が芝の張り替えなどの際に芝生に付着し、増殖して同心円状に広がっていく。
円の縁では成長調節物質が活発に働くため、芝が繁茂したり枯れたりする。輪は年間数十センチずつ大きくなるという。
芝はイネ科なので、河岸氏はAHXがコメの収穫量の増加に役立つとみて、イネにも与えてみた。すると穂の数が多くなり、実験室の栽培では収穫量が25%も増えた。
丈が早く伸び、倒れやすく農作に不向きの状態になりかけるが、収穫時の丈は通常と同じだった。他の2つの成長調節物質を与えて水田で育てた場合も、8〜10%の増収となった。