出来ない鮮やかな心理描写の三点だと思う。 そして彼は映画が好きだ。 好き、というか、小説を
書いていては満たされない視覚性を映画に求めているせいなのだと思うが、[〜]。 また。同じ
つづり替え(アナグラム)の名前のよしみか、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」にもこだわり
を持っていて、[〜]。 なんだかよくわからないけれど、でもワクワクしてしまう……ジャプリゾが
かかわった作品には、いつも、そんな楽しさがある。『狼は天使の匂い』にも『雨の訪問者』やジャン・
エルマン監督の『さらば友よ』にもあった“ごっこ遊び”の楽しみ。〜ジャプリゾの小説そのものは、
話が用意周到に組み立てられて冷たく、人をつき放すようなところがあるのだが、映画になると、
冷たさは消えて曖昧な温かみが生まれてくる。 男たちは、女にとっては妬ましいほど仲が良く、
チャーミングなヒロインたちは、心にさまざまな傷を負わされるものの、ゾッとするほどひどい結果が
待っているわけではない。 ジャプリゾが関係したスリラーやサスペンス映画は、いつも、そこにある
甘い雰囲気、ムードで私を楽しませてくれたのだ。 こうなると、やはり、ムード・サスペンス・
スリラーというのは、ジャプリゾ映画に代表される、なんてことはどうでも良く、私はジャプリゾが
好き、ってことが言いたかっただけかな!? 》 ※「Why so serious?」な「雰囲気だけ」のサスペンス?!