もう20年前だろうか?札幌郊外には大型(潰れたゲーセンやスーパーの居抜き)レンタル店が物凄く多かった。
まだ道民にはTSUTAYAが浸透していない時代だ。この道民愛用のレンタル屋は基本、本土の潰れたレンタル店から
全ての商品をまとめて書いとるというディスカウントショップ方式だった。なのでレアな物が見つかる確率が多い。
野幌にドライブインの居抜きで始めた大型レンタル店があった。店員は店主とその弟の2人だけ。
DVDなんて誰も持っていない時代、「ロゴパグ」やら「思春の森・無修正版」が入ったとポケベルで知らせてくれる。そんなシネフィルに優しい店だった。
これはプレミアム会員の特典で会員費は1.5倍だったが店主の映画愛には抗えず色々な情報やトリュフォーやカイエデュシネマなどに書籍も貸してくれ
店主とプレミアム会員で札幌のシアター・キノまで「ゴダールの映画史」二日間上映を鑑賞しに行った。

5年前、札幌で大学の同窓会があった。私はレンタカーを駆って思い出の土地を動き回った。
そのレンタル店は既に消えていた。
北海道から戻り当時の会員証を確認した。黒地に金色のオスカーが描いてあるプレミアム会員証を見て
あの店が無かったら映画という文化が私の中に入り込んではいなかったのでは無いか?と
寂寞たる思いで、あの店の思い出をまるで考古学者のように記憶の中から掘り起こしている。