反町ロマン座、ポルノ映画4本立て、600円だか800円だかで隔週毎に通っていた大学生時代。
今のAVの代替品だったと言ってよい。
神代辰巳や田中登、曽根中生や藤田敏八の名前を覚えたのもこの小屋のおかげだった。
しかしそうした日活の名監督よりも、もっとマイナーなピンク映画の数々に忘れられない作品が
たくさんあった。そしてその大半はDVDどころかVHSにすらなっておらず幻の映画と化している。
昨今のAVであれば一応ソフト化されて流通しているので手間暇かければ入手も可能だが、
あの頃、名画座にかかっていた膨大な数のピンク映画、それもソフト化されていないマイナーな
代物を死ぬ前に再見出来る確率は恐ろしく低い。
深夜、遠方までチャリンコを漕ぎ、人目を盗んで手に入れた自販機本、自室に帰ってビニールを
剥がしてみれば、セーラー服着たオバハンの陰毛写真が数ページ、残りは下手糞なエロ劇画、
貴重な小遣いをどうしてくれようかと怒りに震えたあの頃が懐かしい。
ピンク映画の大半も同様であり、再見に何かを期待などしているのではない。
当時観てこんなものかと失望していたのだ。しかしあの頃はエロ目線でしか観ていなかった。
ネットのエロ画像、無修正画像など何の意味もない。
青少年の想像力を激しく掻き立てつつ、裏切ったあの頃のピンク映画、その作者にも様々な葛藤が
あった筈である。可能なら死ぬ前にもう一度再見したい。