この血の演出は、役者たちがコワイだろー!これでもか!という過剰な恐怖演技(変顔演技合戦)を繰り広げることで、
この映画の恐怖感がかえって薄められてしまった(むしろ笑いを誘うことになってしまった)という事態に通じるものがある。
キーワードは「過剰」。それをシンボライズしているのが、あの血の奔流だ。
その意味でこれは的確な本編の「予告編」でもあるわけだw

悲劇と喜劇が表裏一体であるように、恐怖と笑いもまた表裏一体だ。
「博士の異常な愛情」では恐怖を過剰に突き抜けて、見事に笑いに転化させてみせたキューちゃんだったが、
ここではホラー映画というジャンルに拘らざるを得なかったことが災いして、恐怖が笑いに突き抜けない、
かといって恐怖が恐怖として突き刺さってもこない、生煮えな演出を披露することになってしまった。