私は告白するが、
北北西に進路を取って
鳥を見ながら
断崖沿いを散歩していたら、急に
めまいがしたので、近くにある知り合いの、元
海外特派員の
スミス夫妻の家に急遽やっかいになった。
成金趣味の家の中には
パラダイン夫人という名の
下宿人がいて、
見知らぬ客である私は彼女に
三十九歳の別人と
間違えられたが、すぐ謝り、さんざん
オベッカを言って
逃走するかのように外出してしまった。その後、通された部屋の
裏窓からの景色は
サイコーだった。