ふしだらな女だったが、農夫の妻である、パラダイン夫人との恋に破れ、気分転換にと
私はフレンズィの、スミス夫妻を誘い演劇一座である、山羊座の芝居のもとにでかけた。
その主役は、舞台恐怖症なのかあがっていて、たマーニーはこんなこともあるのかと思った。
公演の後ひとり家に帰ると、下宿人である、巌窟の野獣のような男のハリーが、災難です、たった今
家の前で、殺人!がありましたと知らせてきた。私はすぐ警察に、ダイヤルを廻せ!と指示した。
かけつけた、第十七番地の警察官によると被害者は3人組の、恐喝(ゆすり)で逮捕された1人で、
今朝3人そろって脱走し、逃走迷路を彷徨ってきた、第3の逃亡者だそうだ。
ウィーンからのワルツが流れるような平和な我が家は、この夜は、快楽の園ではなくなったのであった。