「海流の中の島々」ヘミングウェイ マレーネディートリッヒをイメージした描写

 やはり彼女である。車から降り立つあの形は誰にも真似できないーてきぱきと、しかも
造作無げで美しく、同時に自分が降り立つ道路に大きな恵みを施してやるといった感じ。
長年皆がこぞって彼女に似ようとし、かなり成功した者もある。
だが一度実物を見てしまえば、似た者も所詮模造品でしかない。
今日は軍服姿で、ドアマンに微笑みかけ何か尋ねると、ドアマンは嬉しそうに答えて頷き、
歩道を横切った彼女はバーに入ってくる。