>>308
キャロルよりフランス人ボンドガールならクロディーヌ・オジェーの方が個人的には好き
つーわけで我が輩はサンダーボール作戦でおま
1961年に発表されたThunderballは僅か四年後の1965年に映画化

こんな始まり方

──── ジェームズ・ボンドにとって、する事なすこと裏目裏目に出るような一日──
まず何よりボンドは自分自身が恥ずかしかった。 これは彼としては珍しい心理状態だった。
二日酔いの、それも酷いやつで頭は痛いし節々がギシギシいっている。
咳をすると、煙草の吸いすぎでが飲み過ぎと重なって二日酔いを二重にしているのだ。
池に潜むアメーバみたいに、小さな黒く光る斑点がやんわりと視野の中に沸き上がってくる。
──確かにあの一杯が飲み過ぎだという兆候は、はっきりしていた。
パーク・レーンの豪奢なアパートで、最期に飲んだウイスキー・ソーダはそれまでに飲んだ他の10杯と同じものだったが
喉を通るのに時間がかかったし、苦い後味がして、飲み過ぎの嫌な感じが残った。
しかも「飲み過ぎだぞ」という兆候を自分で承知しながら、もう一勝負だけと言ってしまうのだった。
最期の勝負、100点で5£では?という提案に乗ってしまったのだった。
しかもそのゲームをバカみたいなやり方でやってしまった。
今でもボンドの目には、彼のジャックを得意気に負かしたスペードのクイーンの肥った顔に、モナリザの微笑が間抜けに浮かぶのだった。
ボンドのパートナーが噛み付くように言っていたが、敵は確かにそのクイーンをマークしていたし
そいつにより酔ったボンドにグランド・スラムの点を倍化させ、おかげでボンドたちは敵に400点も献上してしまったのだ。
20点ゲームだったので、結局ボンドの負けは100£── 大切な金を失った。
ボンドは切ってしまった顎をもう一度止血棒で押さえると、洗面台の鏡から膨れっ面して見返している自分の顔をバカにしたように更に見返した───。



こんな始まりから始まり、ボンドはMの命により例の保養所に向かうのよねん