彼は生き残って文明世界に帰ってきたけれど
既に社会的には抹消されていた。

これから新たな人生を築き上げていくのは、
ある意味で無人島で生き残った事よりも至難の業だ。

行方不明になる前の平凡な人生には、もう戻れない。
けれど、新たに生きていく糧を持つのは、どんな事でも
生き残った彼には虚しいだろう。

もし自分だったら残りの人生をしっかり生きていく自信を
持てるだろうかと考える。