【ジンネマン】ジャッカルの日【フォーサイス】II
監督 フレッド・ジンネマン (「わが命つきるとも」「ジュリア」)
製作 ジョン・ウルフ
原作 フレデリック・フォーサイス (「オデッサ・ファイル」「戦争の犬たち」)
脚本 ケネス・ロス (「ブラザー・サン シスター・ムーン」「ブラック・サンデー」)
撮影 ジャン・トゥルニエ (「大列車作戦」「天才悪魔フー・マンチュー」)
編集 ラルフ・ケンプレン (「アフリカの女王」「チップス先生さようなら」)
音楽 ジョルジュ・ドルリュー (「突然炎のごとく」「プラトーン」)
ジャッカル エドワード・フォックス (「デュエリスト/決闘者」「ガンジー」)
ルベル警視 ミシェル・ロンズデール (「エレンディラ」「薔薇の名前」)
ゴッチ(銃工) シリル・キューザック (「死刑台のメロディ」「マイ・レフトフット」)
ドニーズ オルガ・ジョルジュ=ビコ (「いつも2人で」「さよならエマニエル夫人」)
マダム・モンペリエ デルフィーヌ・セイリグ (「夜霧の恋人たち」「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」)
大臣 アラン・バデル (「ナバロンの嵐」「ニジンスキー」)
トーマス部長 トニー・ブリットン (「二人だけの白い雪」「夜をみつめて」)
ロダン大佐 エリック・ポーター (「女が愛情に渇くとき」「アントニーとクレオパトラ」) >>545
フォーサイスは、
「ジャッカルの日」「オデッサファイル」「戦争の犬たち」の
3部作を書いているけど、スパジアリの人生を見ると、この3作が
全部繋がってる事がわかる。
オデッサの首領と言われたオットー・スコルツェニーとか
ハンス・ウルリッヒ・ルーデルらの右翼人脈ってのは、
最初はスペインに集結して、イタリアやフランスの政治に
OASらを支援する事で影響を与えていた。外人部隊内にも
ナチスの残党やネオナチがたくさんいたしね。
彼らは傭兵の派遣会社的な役割も担ってて、
コンゴ動乱やローデシアにヨーロッパ人傭兵を派遣していた。
フランコ死後、活動の舞台は南米に移り、
そこで軍事独裁政権への武器密輸や傭兵派遣をやる。
そのときに、スペインに変わって殺し屋や傭兵の
リクルートセンターになったのはチリの秘密警察。
落合信彦の「20世紀最後の真実」って本は、チリの
ナチスカルト(正確にはヒトラー心霊主義)の受け売り
なんだけど、実際にあの時代のチリに存在した(現在も)。
オリバー・ストーンはそのあたりの事を研究してて、
サルバドルもそうだけど、彼が脚本を書いた「スカーフェイス」にも
結構盛り込んでるね。
主人公のトニーが、ボリビアの外交官を車爆弾で爆殺しようとしたくだりは、
スパジアリの同僚だった傭兵の行った外交官爆殺事件をモデルにしている。 スパジアリが自ら書いた「掘った奪った逃げた」は名作だよ。
外人部隊出身の傭兵たちの友情に胸が熱くなる。OAS解散後も
その友情は続いた。スパジアリが逃亡できたのも、警察や官僚に
OAS出身者が多かったせいもあったと言われている。
コロン(フランス植民地人)が人種差別主義者ではないこともよくわかる。
スパジアリがサハラ旅行で出会ったタルギ族(トゥアゲグ)のビキは、
BMWに乗ってスパジアリを救出に来るし、アルジェリアの田舎の村で
飢えた村を助けようとするフランス老兵の話なんかも出てくる。
全部実話なんだけどね。
この本が映画化された時、なぜかスパジアリが左翼革命戦士として
描かれていたのは残念だ。ジョゼ・ジョバンニの映画なので出来はよかったけど。