「シェーン」の作品背景にあるという「ジョンソン郡戦争」(1892) というのを知った。
紀田順一郎『昭和シネマ館』(小学館)によれば、それは、ワイオミング州ジョンソン郡で実際に起きた
大事件で、牧畜業者がテキサスの退役軍人など22名のプロを傭兵として雇い、新参入の開拓農民
多数を虐殺させた事件だそうだ。アメリカ国内では「ああ、あの事件ね」と誰もが知る有名な事件だそうだ。
(マイケル・チミノ『天国の門』もジョンソン郡戦争を描いたもの)ジョージ・スティーヴンスは原作をひとヒネ
りして黒ずくめ装束の殺し屋(ジャック・パランス)を登場させ、シェーンに「卑しい嘘つきヤンキー野郎」と
呼ばせている。原作にない台詞を再々度にわたって登場させるのは、そこに映画作家の「ある事態」への
本音があるのだと紀田は言う。

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