【一発屋】 シェーン 【アラン・ラッド】
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1953年/米/監督:ジョージ・スティーブンス
出演:アラン・ラッド、ヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー
ブランドン・デ・ワイルド、ジャック・パランス、ベン・ジョンソン
エドガー・ブキャナン、エミール・メイヤー、ほか
>>557
今DLしました。ありがとうございました! 素晴らしい作品だと思うけど、残念なのは子役の演技がお粗末なこと。
もう少しマシな子いなかったのか。
あるいはこの少年をもう少し脇役に追いやることはできなかったのか。
ラストシーンなんかこの少年いないほうがいいでしょ。 >>568
豪快な釣り針だな。
太過ぎて餌が隠れてないぜ。 いやいやシェーンは嵐寛壽郎
ジョーイは松島トモ子でなければ いやいやいや、シェーンは小林旭
ジョーイは江木俊夫でなければw いやいやいやいや
シェーンは渥美清
ジョーイは吉岡秀隆でなければww >>573
いや、ある意味当たってる。
昔の自レスで恐縮ながら、>>50 参照。 寅さん映画のプロローグシーンはいつもシェーンのラストシーンからので シェーンがチャップリンで子供はキッドの子でリメイクしてほしい所 台の上に乗って身長を高く見せることを
日本では「セッシュ」
ハリウッドでは「アランラッド」する
というと世界不思議発見で見た。
電車が見えるシーンとシェリルもよろしく >電車が見えるシーンとシェリルもよろしく
??????なんのこっちゃ
バス以外に電車も映ってるのか?
シェリル?エンジェルのシェリルなら、もうラッドじゃないだろ
正確には撃てないだろうけど、求められているのが精確さより速さだから。 ヴァン・ヘフリン、ジャック・パランスなど、
脇役陣も良かったが、開拓民仲間のからかわれ役で
ウィルソンの挑発に乗って、あっけなく殺された
エリシャ・クック・Jrも印象に残る。
マルタの鷹、三つ数えろ、片目のジャックにも出ていたが、
ノックは無用ではモンローのおじさん役をやっていた。 パラシュート奇襲隊って無かった?
増田貴光枠で見た記憶がある パラマウントから正規盤DVDが出ない理由って何だと思う? 私がファンニングで撃つと25ヤード先の的に全然当たらない。でも早撃ちチャンピオンは6発撃つのに
1秒かからない。そして全弾的中。信じられん。 >>586
アメリカって本当に役者豊富だよね
その人も、あんた素でしょ?ってぐらい普通にそのままの感じだった >>586
あの役者さん。
随分長生きしたんだって? どうもエリシャ・クックとジェフリー・ルイスが混同してしまう。 男の城、サスカチワンの狼火、赤いベレー、
零下の地獄、血ぬられし欲情
とか見たけど(テレビで)
結局、スレタイ通りの俳優さんだったね。
アラン…と言ったら、
“ドロン”と答える人が大半だろうな…
最後にジョーイがカムバックって叫ぶシーンみて、「ゆれる」で最後に帰ってこいよ(?)って叫ぶシーン思い出した。 アラン・ラッドの晩年は神経症か?
何を悩んだのだ? 「島の女」も好き
ソフィアローレンの身長ってどのくらい? 君たち、
「拳銃貸します」みとらんのか?
傑作だぞ!
しぇーん死亡説について
弾傷は浅かったが、傷口が急激に化膿したのさ。 最後の決闘シーンで、直前に酒場内で犬が歩き去るところが味がいいね
午前十時で観て来た。
オッサンになってやっと良さがわかったよ。
名作だなあ。 >>523
そうね、吹き替え版では中田浩二さんのシェーンがよかった
声に哀愁があって沈着冷静な雰囲気がよく出ていた
佐々木さんのは明るくてカッコよすぎ スーパーマン的なイメージ 声優さんが異なる吹き替え版のDVDがほしい
声優さんによってずいぶんイメージ変わるから、いろんな主人公を
楽しめると思う シェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!
カムバ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ック! 日本語吹き替えDVD購入
シェーン役は大塚なんとかいう人 中田さん版には及ばんかな
ラストのカムバ〜ックのシーンがやけに暗いのが気になった
TV放送版はもっと明るかったと思う
ラストシーン、シェーンは既に死んでいるという説
見てみるとそう思えもする 椿三十郎で早く抜いただけでなく、抜くと同時に逆手斬りで仲代を仕留めた
三船には感服するけど、コンマ数秒の差でジャック・パランスも発砲している
のだから名人同士の撃ち合いでアラン・ラッドだけ無事な訳がないよなあ。
やっぱり撃たれているものの、救所を撃つ正確さでシェーンのが上だったと
いう程度の差だと思う。
ついでにヴェラクルスのラストはランカスターが自分に非があることを認めて
わざとはずしたという解釈でいいとおも。 >>616
とすると、被弾から絶命までがイタリアオペラ並みのしぶとさだ。 そもそも拳銃って反動だって大きいし漠然と撃ってそうそう当たるもんじゃないよ
んで実生活である程度の衝撃受けた事ある人間なら、鉛弾撃ち込まれて致命傷受けたのに瞬時も
意識飛ばす事なく銃で相手狙って正確に撃つ事なんてありえないだろ笑、って思うはず
相手に照準合わせて狙い撃てない上に、撃たれた衝撃で筋肉硬直しても、弛緩して発射の反動を
制御出来なくても、弾丸は狙った場所と全く違う所に行くだろう事は容易に想像できるんじゃないの
DVD版は昔観たTV版と翻訳の仕方、セリフが違っている
TV版の方がいいセリフだったような気が 映画の話を実生活云々て馬鹿じゃないの?
そんなこといってたらほとんどのアクション映画は戯言でお終いw PD版の無名の翻訳者と大ベテランの木原たけしを比較するなよ ラストシーンだけしか思い出せない。
それだけあのシーンが印象的だって事か・・・ なぜ、アラン・ラッドが一発屋なの?
長期間にわたって人気があったのに。 こんな映画史に残る超名作が、デジタルリマスタはおろか
まともな字幕版も出ていない。
なんていうことだろうか。 先日の放送で見て、改めて感激。
久しぶりに原作を引っ張り出して読んでみたら、シェーンも確かに被弾しているけど死んではいないようだ。
事件後、町ではこの決闘の噂がすごかったという描写もあるし、旅人からの情報でシェーンの正体らしき人物の話もある。
被弾して去っていく途中で行き倒れたなら、当然、町の人の話題になるはずだし、被弾してはいたが急所は外れていたんだろう。
原作では、決闘前に開拓民への嫌がらせ用に雇われた牧童で、シェーンの顔を見て慌てて逃げ出した人物もいるくらいで、実はシェーンもその筋では有名な名人。
ウィルソンも名人。
名の知れた名人同士の決闘なんだから、腕の違いもごく僅差で、双方、無傷で済むわけがない。
ウィルソンが発砲する瞬間にシェーンの発砲した弾丸がウィルソンに当たって、狙いがそれたんだろう。
映画ラストはフロンティア時代、ガンマンの時代の終焉を意味しているんだろうな。
もちろん、人により解釈は色々だろうけど、視聴後に想像を膨らませることが出来るというのも、あの素晴らしいラストシーンがあるからで
本当にいい映画だ。
最後の決闘シーンのかっこよさったらないなあ
あの緊張感は格別
よろよろ画面から消えていく犬にも何か賞あげたいぐらいだ この前、スターチャンネルで見たんだけど、
この映画って何であんなに色が悪いの?
1953年製作なのに白黒映画に着色したみたいだった。ハイビジョンなのに酷い画質。
>>634
それは担当者の作品に対する愛がたりないんじゃね?
酷い原版しか無ければ、探すと思う。 町のボスが死んだ。
でも、すぐに他のボスが仕切る事だろう。 シェーン初めて観た。
演出が良いね。半世紀経っても全然色褪せない。
それにアランラッドがカッコイイ。
『幌馬車』で初めてジョンウェインを観たときのスターのオーラは感じなかったが、それでもシェーンの優しさと最強のガンマンのオーラが感じられてて味わい深かった。
傑作だわ。 『シェーン』のテレビ吹替を見たが、ラストはなんで『シェーン!カムバック!』って
英語の吹替になるんだよ。 この子役は映画の収録後に交通事故で死んじゃったんだよね。
淀川長治さんがそう解説していた記憶がある。 >>643
まあ、記憶違いはよくあること。
ブランドン・デ・ワイルド(1942-1972)
舞台監督を父に、女優を母に生まれたブランドンは7歳のとき舞台デビュー、10歳で
映画デビュー、翌年「シェーン」(1953年)の名作に出演し、世界中に知られるように
なった。その後も「夜の道」(1957)「ゆきすぎた遊び」(1959)「ハッド」(1962)「われら
キャロウェイ」(1964)「危険な道」(1965)などで若者らしいひたむきな持ち味で将来が
期待されていたが、1972年7月6日夜、コロラド州デンバー市の郊外で交通事故の
ため死亡。享年30歳。
事故当夜はデンバー市内の劇場での実演舞台に向かう途中、折りからの豪雨に
運転をあやまり、ガードレールに激突、4時間後かつぎ込まれた病院で死亡した。
彼がぼくたちの住んでいた盆地へ馬を乗りいれて来たのは1889年の夏のことだった。
その頃のぼくは、父親の古い食糧車の後ろの板に、頭がとどくか届かないくらいの子供だった。
夕暮れに近い陽ざしを浴びながら、小さい馬囲いの柵の上の横木にまたがった時、
向こうの広い平原から盆地へ下りてくる遥かな道を、彼がくるのが見えた。
「ボッブ、お前にはつらかろう」
ぼくが子供なので、父はぼくに話しかけたのだ。だが、ほんとうは自分に話していたのだ。
「最後のところは、おれにはわからん。だが、これだけは見当がつく。ウィルスンをやっつければ、一応けりはつくんだ。
フレッチャーも、おしまいだ。町の衆もそれを望むだろう。ピストルの勝負じゃ、おれはウィルスンに勝てない。
だが、おれのこのからだには奴をやっつけるまで立っていられるくらいの力はある」
母は身を動かしたが、黙っていた。父の声が続いた。
「もっとまずいことになるかもしれない。だが、どんなことになっても、家族のものがおれより、
りっぱな人間の世話を受けるようになると思うと、おれも気がやすまる」
ポーチのぼくたちのうしろで、突然、はげしい音がした。シェーンが急に立ち上がって、椅子が壁にぶつかったのだ。
手はしっかり握られていて、腕はふるえていた。何ものかをじっとこらえているので、顔が蒼白になっていた。
心をかきむしられているような悲痛な表情をして、眼がどうにもならぬ苦悩をあらわし、それは誰が見ても明らかだったが、
あえて隠そうともしなかった。
そして、ぼくたちのそばをとおって静かに階段を降り、家のかどをまがっていった。
母は立ち上がって、急いで彼の後を追い、家のかどで足をとめると、壁に手を支えて、荒い息を吐いた。
母は倒れるのを防ぐように手をずっとのばして、ゆっくり戻ってきた。そして、ふたたび階段に腰をおろし、からだを父によせた。
父は太い腕で母を抱いて、引きよせた。
盆地いっぱいに静寂がひろがり、影が庭にのびた。
その影はやがて道路にとどき、しだいに色が濃くなって、太陽が家のうしろの山に沈んでいったことを示した。
母が立ち上がり、父もいっしょに立ち上がった。父は母の両腕をとって抱いた。
「おれはな、マリアン、お前の力であの男の戦いを勝たせてやってもらいたいんだ。お前ならできるんだ」
父は淋しそうにちょっと笑ってみせて、その姿はぼくの頭上に世界中で一ばん大きな人間のようにそびえ立っていた。
「晩飯はまだ、食いたくない。お前がわかすコーヒーが飲みたいのだ」
彼は一緒に戸口を入っていった。
シェーンはどこへ行ったのだろう。ぼくは納屋へ急いだ。納屋の近くまで行くと、野原に出ている彼の姿が見えた。
牧場で草を食んでいる牛の向うの山の端が落日に光っているのを見ているのだった。
ぼくが見ていると、彼は手を空たかくのばし、薄桃色に輝いている栄光をつかもうとしているように見えた。
シェーンはじろっとこちらを向いて、頭をまっすぐにあげしっかりした大股の足どりで戻ってきた。
その態度には、どこかに新しい確信のようなものがあった。
彼が近くまでよってくると、彼の表情はしずかに落ち着いていて、小さな光が眼に踊っていた。
「早く家へお帰り、ボッブ。笑顔を見せるんだ。何もかも、うまくゆくよ」
彼は足をゆるめずにぼくのそばを通りすぎると納屋へ入っていった。
しかし、ぼくは家の中へ入る気になれなかった。そして、家へ帰れといわれた以上、シェーンの後を追うわけにもいかなかった。
ポーチのそばで納屋の方を見つめながら、はげしい興奮を感じはじめていた。
何分かすぎて、夕闇が濃くなり、台所のランプに火がともされ、家から光線が流れてきた。
そして、ぼくはまだ、待っていた。それから、シェーンが足早にぼくの方へやってきた。
ぼくは彼の姿を眺め、驚いて家の中へ駈けこんだ。血が頭の中で鳴った。
「お父さん! お父さん! シェーンがピストルを持ってるよ!」
シェーンはぼくのすぐうしろにいた。父と母がテーブルから眼をあげて見上げたときには、もう戸口に立っていた。
ぼくたちの生活にはじめて入りこんできたときと同じ服装で、
はばのひろいつばに波を打たせた黒い帽子からやわらかな黒い靴まで、不気味なきびしさがあった。
だが、すぐ眼につくのは、黒いズボンにくっきりと対照されて浮かんでいるピストルの象牙の握りの白さだった。
弾薬帯は左の腰から右の腰に傾いてからだにまかれ、ピストルのサックがいつか彼がいったように腿に下がっていた。
ピストルの柄はいつでも抜けるように、自然にたれた両腕の手頸と肘のまん中にあるのだった。
弾薬帯とサックとピストル……それらのものは彼が身につけているものではなかった。彼の一部であった。
シェーンという男ぜんたいの一部分だった。
いままで、ぼくたちとともにくらし、ぼくたちの一部であったこの男が、はじめて彼自身の完全な姿をあらわしたのだった。
もう、不恰好な野良着を着ていないので、最初の日のようなすらりとやせた姿だった。
変わったものはそれだけではなかった。鉄のように見えていたものがふたたび鋼になっていた。
それは剣のようにしなやかで、剃刀の刃のように鋭かった。
戸口に立った姿はほっそりとして、暗がりで、戸口いっぱいに立ちはだかっているように見えた。
これはもうぼくたちのシェーンではなかった。そして、やはりぼくたちのシェーンでもあった。
ぼくはエド・ホウェルズがあんな危険な人間は見たことがないといったのを覚えていた。
父が家へ来た者のなかで一ばん安全な人間だといったのも覚えていた。
ぼくはこのどっちの言葉も正しく、それがシェーンなのだということを悟った。
父の頭がうしろにゆらぎ、シェーンはそれを静かに押さえて、父のはばのひろい肩をテーブルにうつぶせにした。
父は力の抜けた腕をテーブルにのばして、頭を伏せた。
シェーンはからだをまっすぐにおこして、母を見た。
母はシェーンが戸口に現われたときから、父が倒れそうになって、テーブルがはねたときでさえ、からだを少しも動かさなかった。
そして、眼にやさしい温かさをたたえて、シェーンを見つめていた。
闇が盆地いっぱいにたれこめて、テーブルをへだてて向かいあっている二人を照らしているのは、
二人の頭の上でかすかにゆれているランプの光だけだった。
二人はしばらく、二人だけの時間の中にいたのだった。だが、口が切られたときは、話は父のことだった。
「私は前から心配してた」と、シェーンは低い声でいった。
「こう出てくると思っていたんだ。そのほかにジョー・スターレットの生きる道はないと考えたのだ」
「わかってるわ」
「静かにやすませれば、気がついたときに少しはふらふらするだろうが、心配はない。
こういってください、マリアン。シェーンに殴られたのなら、恥と思う必要はない、と」
その名前は彼が自分でいう不思議なひびきを伝えた。彼が自分のことを口にしたのはこのときがはじめてだった。
そして、その言葉には少しも誇らしげな口調はなかった。
ただ、彼のからだに培われた力と同様の明らかな事実を述べただけなのだ。
「わかってるわ」と、母は重ねていった。「私からいう必要はないわ。このひとも知っているわ」
母は真剣な様子でからだをおこした。
「でも、私がどうしても知りたいことがあるわ。私たちはいつも、いいたいことを冗談にまぎらわせていたわ。
それでよかったんだけど、いまとなれば、私にも知る権利があると思うわ。
これから私がすることも、あなたが、いまいうことできまるのよ。
あなたはこのことを、ただ私のためだけにするの?」
シェーンはしばらくためらっていた。
「いや、ちがう、マリアン」
彼の想像はひろがって、母と父の動かないからだと窓の外の椅子にまたがっていたぼくを包んだように思われ、
さらに、その野原から家ぜんたいにまでひろがったようになってきた。
それから、視線は母にだけ注がれ、特に見えるものは母の姿だけになった。
「ちがう、マリアン、あんただけを心のなかでべつに考えて、それで私が男になれると思うのですか」
シェーンは母から眼をはなして、開かれたドアの外の闇を見た。
表情がかたくなって、心は町で待っていることに飛んでいるのだった。
からだを動かしたのがあまりにも静かで軽やかだったので、ぼくたちが気がついたときには、
シェーンはもう、外の闇の中に姿を消していた。
「ウィルスン、おれは待ってるんだ。おれに鞭でせっつかせる気か」
時が停止した。そして、この世界には、互いの眼の中に永遠を見つめて立つ二人の男だけしかいなかった。
突然、目にもとまらぬ素早い一連の動作に、部屋ぜんたいが隠れた。二人の拳銃の音が同時に起こった。
シェーンは、根を張った樫の木のようにがっしりと立っていて、ウィルスンはよろめいた。
右手がだらりと下がり、袖口から手首にかけて血が細い筋をひいて流れはじめ、ピストルが利かなくなった指から滑り落ちた。
彼は信じられないという面持で、壁ぎわに退った。
左手を曲げてもう一挺のピストルを引き抜いたとたん、シェーンの弾丸が彼の胸を射った。
彼は膝をがくんと曲げ、ゆっくりと壁からずりさがって、生命のないからだが横ざまに床に倒れた。
シェーンは自分と彼との間の空間をじっとみていたが、ピストルをサックに戻したときは、
ほかのことはすべて忘れ去ってしまったようだった。
「おれは彼にも機会をあたえてやった」と、シェーンは深い悲しみの底からいうようにつぶやいた。
しかし、その言葉はぼくにとっては意味がなかった。なぜなら、彼のバンドの止めがねの少し横上のあたり焦げ茶のシャツの上に、
もっと濃いところがしだいに滲み拡がるのが見えたからだ。
それからみんなが気がついて、ざわめきが起こり、部屋は生気をとりもどした。
いろいろな声が起こったが、言葉としては聞きとれなかった。部屋の奥から銃声が響き、瞬間、人々の声はやんだ。
シェーンのシャツの肩のあたりを、風がびしっとたたきつけたように見えて、表の窓ガラスの下の部分がこわれた。
そのとき、ぼくは見た。
ぼくだけだった。人々は部屋の奥をふり返ってみていたのだ。ぼくの眼はシェーンに吸いついていた。
そして、見た。彼のからだ全体が一瞬の間に動いたのだ。
頭からさきにからだがくるりと廻るのと、足の凄まじい力とが見えて、腕がちらりと動き、稲妻のような早さでピストルが抜かれた。
銃身が指でさすように相手に向けられ、彼自身はじっと動かないのに、火を噴いた。
中二階で二発目の狙いをつけていたフレッチャーが射たれて、よろめき、後ろの開いた戸口へ退った。
彼は柱をつかんで、からだを前にのめらせた。手すりによろめきより、ピストルを上げようとしたが、力は尽きていた。
彼は手すりの上に倒れ、こわれた手すりと一緒に転がり落ちた。
部屋のしびれたような静けさの中で、シェーンの声が、遠くからの声のように聞こえた。
「これですべては終りだろう」と、彼はいった。彼は無意識のうちに、下も見ないでピストルの廻転室を開けると、弾丸をこめた。
シャツのしみが、バンドの上で扇形にひろがっていたが、彼はそれを知りもしなければ、気にもかけていないようだった。
ただ、彼の動作はいいようのない疲労のために緩慢になっていた。
両手はしっかりしていたが、ゆっくり動いて、ピストルがその重さでサックに落ちこんだ。
彼は足をひきずるようにして、自在戸に肩が触れるまで退った。眼の光が消えようとするろうそくの灯のようにゆらめいていた。
そして、彼がそこに立っていたとき、不思議なことが起こった。
彼の上に現われた変化をなんといって表現したらいいだろう。彼の意志のどこからか活力が出てきたのだ。
その活力の潮は静かに身内に湧き、弱さを追い払った。力は眼に輝き、眼は再びいきいきと動いた。
それは次第にふくれて、再びいつもの体力を盛り返らせ、ついには身体の隅々まで高鳴るほどになった。
彼はひとがいっぱいいる部屋に向かい、ぐるりと皆の顔を読みとってから、穏やかではあるが、否応はいわせない調子でいった。
「おれはこれで立ち去る。誰もついて来てはいかん」
彼は皆がいわれた通りにすることを信じこんでいて、平然と皆に背を向けた。
自在戸とその上の四角い闇を区切って、彼の姿は毅然とそびえていた。次の瞬間、ドアは静かにきしって閉じた。
部屋の中にあわただしい動きが満ちた。
人々はウィルスンとフレッチャーの死体のまわりに集り、バーに押しよせ、興奮して話をはじめた。
しかし、誰一人として、戸口の付近には、誰かが立入禁止の線をひいたかのように、人気のない空間があった。
ぼくには、彼らがしていることや話していることはどうでもよかった。
ぜひ、シェーンのところへ行かねばならない。どうしても、彼に会わねばならない。知らねばならないことがあるのだ。
しかも、答えてくれることができるのは彼だけだった。
ぼくは店の方の戸口から駆け出して、間に合った。彼は馬にまたがっていて、階段から離れるところだった。
「シェーン」と、ぼくは酒場の中の人たちには聞こえないようにいった。「シェーン」
彼はぼくの声を聞いて、馬を廻した。ぼくは走りより、あぶみのそばに立って、見上げた。
「ボビイ! ボビイ坊や! こんな所で何をしてるんだ」
「ぼく、ずっとここにいたんだ」と、ぼくはいった。「どうしても、ききたいことがあるの。あのウィルスンは――」
彼はぼくが気にしていたことを知っていた。彼はいつも知っていたのだ。
「ウィルスンは」と、彼はいった。「まったく手の早い男だった。あんな素早い男には初めてあったよ」
「そんなこと、どうでもいいんだ」と、ぼくはいったが、涙が出はじめた。
「あいつが一番素早い男でも、そんなことはどうでもいい。あいつはおじさんを射つことができなかったんだろ。
もし、おじさんが練習していたら、一発であいつをやっつけたんだろ」
彼はちょっとためらった。ぼくをじっと見おろし、のぞき込み、そして、察した。
彼は少年の心の動きと、育ってゆくにつれて汚れてゆくことから、少年の心を守る道を知っていた。
「そうさ、ボッブ。ピストルを抜くこともできなかったろう」
彼はぼくの方へかがみこみ、頭へ手をかけようとした。
しかし、鞭でうたれたように痛みが襲って、その手をひっこめバンドのあたりのシャツをしっかり押さえた。鞍の上でからだがゆれた。
ぼくは耐えられないほど心配になった。ぼくは彼を見つめ子供ではどうしようもないことだったから、
眼をそらして固く温い馬の横腹に顔を隠した。
「ボッブ」
「なに、シェーン」
「ボッブ、人間ってものは、生まれたときから型ができている。その型をこわすことはできないんだ。
おれはやってみたが、だめだった。しかし、あの道のわきの柵にまたがっていたそばかすだらけの子供と、
その後ろのほんとうの男をみたときから、こうなる運命だったんだ。ああいう頼りになる父親はおれにはなかったよ」
「でも――でも、シェーン、おじさんは――」
「人を殺せば、後へは戻れないんだよ、ボッブ。正しかろうが、まちがっていようが、いちど烙印を押されたら、後へは戻れないんだ。
これからは、坊やの仕事だ。お母さんとお父さんとのとこへお帰り。強く正直に育って、しっかり親の世話をするんだ。二人ともだよ」
「ええ、シェーン」
「いまとなっては、おれがあの二人にしてあげられることは一つしかないんだ」
ぼくは馬がぼくから離れるのを感じた。シェーンは道路の先きにつづいている広々とした平原の彼方を見ていた。
馬は手綱の命じるままに従った。彼は馬を歩かせてゆき、ぼくが何といおうと、どう考えようと、彼を引きとめることはできないのだった。
忍耐づよく力のある大きな馬は、彼をこの盆地に運んで来たときのようなしっかりした歩き方になっていた。
そして、人と馬とが窓から射す光の中を通り過ぎたとき、一つの黒い影になって道の上に動いた。
ぼくは彼の姿を追って、眼を見すえた。月の光の中に紛う方ない彼の輪郭が遠ざかってゆくのが見えた。
ぼくは淋しさに包まれて、彼が町を出はずれ、盆地の向うの平らな土地に曲がって続いている道を下ってゆくのを見ていた。
後ろのポーチにはひとびとがいたのだが、ぼくの意識の中にあったのは、道路のはずれに小さくなって、かすんでゆく黒い影だけだった。
雲が月にかかり、彼の姿は闇にとけて見えなくなった。
雲が過ぎると、道はただの細いリボンのように続いていて、そして、彼の姿はなかった。
ぼくは階段にからだを伏せて、涙をかくすために腕に顔を埋めた。
まわりの人々の声は、荒涼とした空虚な世界の意味のない騒音だった。
ぼくを家へ連れ帰ったのはウェアさんだった。
父と母はほとんどぼくが出かけたときのままの姿で台所にいた。
母は椅子のそばへ寄せていた。父は疲れきっているようだった。頭の横が赤くなって、はれていた。
二人とも、ぼくを迎えに出てこなかった。座ったまま、ぼくたちが戸口を入ってゆくのを見つめていた。
父も母も、ぼくを叱ろうとさえしなかった。
母は手をのばしてぼくを引きよせ、ぼくはもう三年以上もしていないことだが、母の膝にからだをのせて抱かれた。
父はただ、ウェアさんを見つめた。自分から言葉を切り出す勇気がなかったのだ。
「もう、何も心配はなくなったよ、スターレット」
父はうなずいた。「おれに知らせに来てくれたんだね」と父はものをいうのも大儀そうにいった。
「シェーンが奴らにやられるまえにウィルスンをやったんだろう。わかってるよ。あの男はシェーンなんだ」
「ウィルスン」と、ウェアさんがいった。「それから、フレッチャーだ」
父がいった。「フレッチャーもだって? そうだろう。あの男なら、そこまでやるはずだ」
そして、深い息を吐いて、顔の傷を指でなでた。
「あの男は、この仕事だけは自分一人でやる仕事だといった。しかし、ウェア、ここで待っているのは、とても辛かったぞ」
ウェアさんは父の顔の傷を見た。
「そうだろうと思ったよ。いいかね、スターレット。お前さんが自分の意志でここに残っていたんじゃないということは、
町の連中はみんな知ってるんだ。そして、今夜酒場へやってきたのがシェーンだったので、みんなほっとしたんだぜ」
そこで、ぼくが口を出した。「見せたかったよ、お父さん。シェーンは――シェーンは――」
言葉はなかなか出なかった。
「とてもりっぱだったよ、お父さん。そして、もし、シェーンが練習をしていたら、ウィルスンはきっと、ピストルを射つこともできなかったよ。
ぼくにそういったんだもの」
「お前にいったって!」
父がいきなり立ち上がったので、テーブルががたんとゆれた。父はウェアさんの上衣の前をつかんだ。
「何という奴だ! なぜいわなかった! 生きてるんじゃないか!」
「そうだよ」と、ウェアさんはいった。
「生きているよ。ウィルスンがやっつけようとしたが、ピストルに射たれるような男じゃないね」
どういっていいかわからないといった表情がウェアさんの顔に浮かんだ。
「どんなことがあっても、死にそうもない男さ」
父は彼をゆすぶった。「どこにいる」
「行っちゃったよ」と、ウェアさんはいった。
「たった一人で、望みどおり誰にも後から追われないで、行っちゃった。盆地から出ていって、行先きは誰も知らない」
父は両手をたらした。ふたたび、椅子にくずれ落ちた。パイプを取り上げて、パイプは指のあいだで折れた。
父は折れた屑が落ちるにまかせ、床に落ちた木片を眺めた。
新しい足音が聞こえて、一人の男が台所へ入ってきたとき、父はまだ床に眼を落としていた。
男はクリスだった。右腕を吊り、眼は異様に光らせ、顔が真赤だった。左手に赤いチェリー・ラムネの壜を持っていた。
彼はずかずかと部屋に入ってきて、壜を持っている手をテーブルにおいた。
テーブルが大きな音を立てて、自分で驚き、困ったような顔をした。そして、もじもじしていたが、やっと口を切った。
「これはボッブに持ってきた。スターレット、おれはとてもかわりにはなれないが、この腕がなおったら、ここで働かせてくれ」
父の顔がゆがみ、唇が動いたが、言葉は出て来なかった。母がかわって答えた。
「シェーンが喜ぶわ、クリス」
父はそれでも、黙っていた。クリスもウェアさんも、何をいっても無駄だと思ったのだろう。彼らはそのまま、急いで出ていった。
母とぼくは父を見つめて座っていた。ぼくたちにも、どうにもならなかった。父が自分で解決しなければならないことなのだった。
父はあまり静かなので、息もしていないようだった。
やがて、いたたまられなくなって、にわかに立ち上がると部屋の中を歩きはじめた。壁を睨んで、戸口から外へ出ていった。
家のまわりを歩きまわる足音が聞こえ、それから、足音は畑に向かい、何も聞こえなくなった。
どれほどぼくたちがそこに座っていたか、ぼくにはわからない。
ランプの芯が小さくなり、しばらくまたたいて、灯が消えると、闇が気持を落ちつかせた。
とうとう、母がぼくを抱いたまま、立ち上がった。ぼくは母の腕に力が入っているのにびっくりした。
母はぼくをしっかり抱いてぼくの小部屋へ連れて行くと窓からさしこむ淡い月光をたよりに服を脱がせた。
そして、ぼくを寝かせてから、ベッドの端に坐り、やっと、囁くような声でものをいった。
「さあ、ボッブ、すっかり話しておくれ。お前が見たとおりに」
ぼくが話をして、話をしおわったとき、母が低い声でいった言葉は「ありがとう」だけだった。
母は窓の外を眺めて、また同じ言葉を口に出した。
それはぼくにいったのではなく母はいつまでも灰色の山の姿を見つめていて、やがて、ぼくは眠りに落ちた。
母は一晩中、そこにいたにちがいなかった。
ぼくが窓から太陽の最初の光がさしこんだときに眼をさますと、ベッドの母が坐っていたところがまだ温かった。
母が動いたので、眼がさめたのかもしれない。ぼくはベッドを這い出して、台所をのぞいた。母は戸口の外に立っていた。
ぼくは急いで服を着て、足音を忍ばせて台所を通り抜け、母のそばへ行った。母はぼくの手をとり、ぼくは母の手にすがった。
ぼくたちは一緒に父を探しにいった。
父は馬囲いのはしのシェーンが新しくつぎ足したところにいた。
太陽は河向うの山と山のあいだからのぼりはじめ、真昼のような輝きはなかったが、早朝の太陽らしく赤味をおび、
新鮮な感触をおぼえさせた。父は柵の上段に腕を組み、頭をその上に伏せていた。
父はぼくたちの方を向くと、支えが必要であるかのように背中を柵にもたせた。眼にはくまができて、血走っていた。
「マリアン、おれはこの盆地も、盆地の中のものも見たくなくなった。もう、ここにいても、気持が落ちつかない。
お前も坊やも辛かろうが、ここの権利を売って、どこかへ行こう、モンタナでもいい。あそこにはいい土地が余っているそうだ」
母は父の言葉を終りまで聞いた。ぼくの手をはなし、からだをきっとおこしていた。
腹を立てて、眼をもえたたせ、頬をふるわせていた。しかし、父の言葉を終りまで聞いた。
「ジョー! ジョー・スターレット!」
母の言葉ははっきりしていて腹を立てているという以上の感情がこもっていた。
「シェーンがほんとうに腰をおちつけたときに出て行くというの?」
「だが、マリアン。わからんのか。シェーンはもういないんだ」
「いますよ。ここにいるのよ。あのひとが私たちにさずけてくれたこの土地に。
あのひとは私たちのまわりにも、私たちの中にもいるのよ。いつまでも、いるのよ」
母は馬囲いの隅のシェーンが立てた背の高い柱のところへ走っていった。そして、両手でその柱をつかんだ。
「さあ、ジョー。これを抜いて頂だい」
父は驚いて見ていたが、母のいうとおりにした。そのときの母には、誰も逆らうことができなかった。
父は柱を握って、抜き上げようとした。そして、頭をかしげると、足をふんばって、全身の力を加えた。
肩と背中の筋肉がふくれあがりぼくはシャツが破れるのではないかと思った。
柵ぜんたいが音を立てて鳴り、柱が少しばかり動いて、根元の地面にほんの少しの割れ目ができた。
だが、柵が倒れることもなく、柱もそのままだった。
父は額に汗の玉を光らせ、頬に赤味を見せて、向きなおった。
「ごらんなさい。ジョー。私のいったことがわかったでしょう。私たちはどんなことがあっても動かない根をおろしたのよ」
そして、朝の太陽が父の顔を照らし、父は新しい希望に眼を輝かせた。
もうこれ以上、話すことはない。
町のひとびとと学校の子供たちは、さまざまの想像をまじえてシェーンの話をしたがった。ぼくは決してしなかった。
グラフトンの酒場のあの晩のできごとは盆地の伝説になり、町が河にそってひろがるとともに、尾ひれが加わってひろがった。
しかし、口から口へと伝わるうちに、事実がどんなに変わっていっても、ぼくは口を出さなかった。
シェーンはぼくのものだった。父と母とぼくのものだった。どんなことがあろうと、この事実は傷つけられないのだ。
なぜなら、母がいったとおりだったからだ。
シェーンはそこにいた。ぼくたちの土地に、そして、ぼくたちの中にいた。ぼくが会いたいときには、いつでも、そこにいた。
眼をつぶれば、彼の姿が見えるし、再びものやわらかな声を聞くことができるのだった。
ぼくはあらゆるときのシェーンを想いおこすことができた。
一番はっきり眼に浮かぶのは、眼にもとまらぬからだの動きで二階のフレッチャーを射ったグラフトンの酒場での彼であった。
どうして得られたのかわからないほど美しく整ったからだの動きと、そこから出るおそろしい力。
人間と武器とが一つのものになっているすばらしい境地。
正しい人間と正しい武器とが一つになって、なさねばならぬことをしとげたときのことは、一生、ぼくの頭から去らないであろう。
そして、ぼくの心はいつも、町はずれの道のそばの叢から彼を見たときのことに戻ってゆく。
月光を浴びて殺すか殺されるかの決闘をしにいった彼の背の高い姿を、ぼくはいつでも想いうかべることができた。
つまずいた少年を助け、その少年が心の正しい人間に成長してゆく美しい土地をじっと見わたしていた彼を、ぼくは忘れることができない。
そして、町のひとびとが彼の過去についてさまざまな想像をめぐらせているとき、ぼくはひそかに微笑をするのだった。
通りすぎる旅のものの話から、実はアーカンソーからテキサスを股にかけていたシャノンという博賭打ちで、人殺しとしても名が高く、
いつどうして姿を消したかは誰も知らないというような噂もひろがった。
その噂が消えると、ふたたび、旅びとのそれぞれの話がつぎあわされて、次の噂がたてられた。
しかし、そんな話がはずんでいるときには、ぼくはただ、微笑をうかべていた。シェーンがそんな男ではないことを知っていたからだ。
彼は開けゆく大西部の魂から抜け出して、ぼくたちの小さな盆地に馬を乗り入れ、その務めを果たしたとき、
ふたたびもと来たところへ戻っていった男であった。そして、それがシェーンなのだった。
THE END
「私が書こうとしていることは、アメリカがかつてどんなタイプの人間を持っていたかということである。
そして、私がそういう人間について書くのは、私たちはいつでも、もういちどそういう人間になれると確信しているからである」
ジャック・シェーファー
ラストの「本気だったら抜かせなかったよね?」がやや唐突に感じる ジョーイ少年にとってはシェーンは絶対的ヒーローであって欲しいということだろう
シェーンは無敵だと信じることで、シェーンが怪我を負って死ぬんじゃないかという不安な気持ちを
払拭したいと願った少年のいじらしさ 「シェーン」の作品背景にあるという「ジョンソン郡戦争」(1892) というのを知った。
紀田順一郎『昭和シネマ館』(小学館)によれば、それは、ワイオミング州ジョンソン郡で実際に起きた
大事件で、牧畜業者がテキサスの退役軍人など22名のプロを傭兵として雇い、新参入の開拓農民
多数を虐殺させた事件だそうだ。アメリカ国内では「ああ、あの事件ね」と誰もが知る有名な事件だそうだ。
(マイケル・チミノ『天国の門』もジョンソン郡戦争を描いたもの)ジョージ・スティーヴンスは原作をひとヒネ
りして黒ずくめ装束の殺し屋(ジャック・パランス)を登場させ、シェーンに「卑しい嘘つきヤンキー野郎」と
呼ばせている。原作にない台詞を再々度にわたって登場させるのは、そこに映画作家の「ある事態」への
本音があるのだと紀田は言う。
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