個人的に感謝してもし切れない作品だ。
これを観なかったら俺は今でもSF・特撮・ホラーしか観てなかったかも知れない。

とにかく、その頃の俺はJ・カーペンターの映画のファンで
常連のようにカーペンター作品に出ていたハリー・ディーン・スタントンのファンだった。
ファンと言ってもね。「俺ってこんな脇役の名前を知ってるんですよ」程度の
底の浅いファンだったんだけど。まぁ、若い頃は誰でも通る道だな。

で、当時購読していた旧「スターログ」誌に出ていたのがこの映画の紹介記事。
「あの脇役専門のハリー・ディーンが主役」というのでイソイソと出かけたこの映画。
「普通の映画、それもアートシアター系の映画なんて」とずっと思っていた
俺の思い込みは見事に崩された。良い映画だし、並みのSF映画なんかよりも
よほど驚きに満ちていた。

それまでの思い込みを捨てた俺は「フランス映画社配給」をキーワードに
様々な映画を見始めた。そして本屋の店頭で「リミュエール」誌を目に留める。
目玉はこの映画のシナリオ採録だった。ビデオなんて持ってなかった俺は
そのシナリオを何度も読み返して追憶に浸った。

そして、他の記事にも目を向け始め、つい何ヶ月か前まではSF映画ヲタだった俺が
一挙にホークス・フォード・トリューフォー・ゴダール・小津・溝口・成瀬・・・・
なんていう世界に足を踏み入れる事になった。
「変貌するにも程がある」とは自分でも思うけど(w

その結果、今では「どんな映画でも観ちゃう」俺がいるわけ。
長々と自分語りスマソだが、この映画に特に思い入れがあるのはこんな訳だ。

しかし、同時上映が「ミツバチのささやき」とは豪華すぎるにも程がありましたな。
今は無きテアトル鎌倉に感謝。