確かにタイガー戦車が追い詰められているという決定的な描写はないんだよね。
だって、もし戦車内を映して「もうだめだ」みたいなことをドイツ兵が
言ってる場面があったらクライマックスの決闘シーンのサスペンスが
台無しになっちゃうから。あと怖いタイガーから、人が良さそうで
鈍重そうなカール・オットー・アルバーティが現れる場面の面白みも半減してしまう。
その代わり、作り手は状況証拠を積み重ねて、ケリーたちがイチかバチかの賭けに
打って出る展開にも説得力を持たせている。既に戦闘の趨勢が決まり
(ビッグジョーがサイコロを見舞ったり、ケリーが戦車の修理を見学してることからも分かる)
銀行前に居座るタイガー戦車にしても、大暴れはしているものの、めくら滅法撃ちまくっている姿から、
内部の人間がかなり追い詰められていることが伝わってきます。
そして、マカロニ・ウェスタン風の音楽で緊迫感を高めておいて
オチは「交渉」という人を食った展開。銀行の扉が吹っ飛ぶ場面の呼吸も絶妙です。

まぁ長々と語りましたが、要するに
「何度見ても発見があり、色々な解釈や楽しみ方が出来るのも名作の条件」
ということで。