数日後、麻衣がお客を連れてきた。
陽菜「初めまして。深川さんの店で働いていた川後といいます」
深川「この子、寿退職するの。結構長期間うちで働いてくれて、感謝の意味で家でご馳走しようと思って。きょうは手巻き寿司パーティにしましょう。材料は買ってきたから」
美愉はあらかじめ聞いていたらしく、大量の酢飯が炊き上げてあった。
麻衣が寿司ネタと酒を買い込んできてある。

陽菜は最初は静かだったが、アルコールが入ると饒舌になり、面白い人だった。
陽菜「麻衣さんは本当に素敵な人で、本当はずっと一緒に働きたかったんですけど、結婚して地元に帰ることになって」
麻衣のたまに見せる天然ボケ話とかで盛り上がったりもしたが、陽菜は本当に麻衣のことが好きらしく、とうとう別れるのがつらいということで、泣きべそをかいてしまった。
美愉「わかります。麻衣さんは15年以上前からここに住んでくれて、私にとって実の姉以上の存在なんです」
麻衣「陽菜ちゃん、ありがとう。私も本当に寂しいのよ。でもあなたは、これからとっても幸せになれるんだから」

パーティがお開きになった後、奈那と菜々香は、陽菜に何気なく聞いてみた。
「ねえ陽菜さん、麻衣さんには彼氏とかいないんですか?あんなに綺麗で優しくて、すごくモテると思うんですけど」
陽菜「うーん、私も以前聞いてみたことがあるんですけど、はっきり否定はされずに、はぐらかされちゃいました」
奈那「まああんまり完璧過ぎると、かえって男が近づきにくいってこと、あるらしいからね」
菜々香「そういう意味では、奈那ちゃんは・・・」
奈那「何が言いたいのよ!とにかく陽菜さん、お幸せに♪」