美愉がチラシを貼っている隣の通りで、昨日マンションを焼け出された銀行員の女性が、うつむいて歩いている。
「あーあ、住むとこ無くなっちゃったよ。これからどうしよう・・・」
とうとうその女性は近くのベンチに座り込んで、顔に手を当てて泣き出してしまった。

「どうしたの?」
ハンカチを差し出しながら優しく声を掛けてきたのは、帰宅途中の麻衣であった。
麻衣は困っている者を放っておけない性分である。
銀行員の話を聞いてやる内に、もらい泣きし始めた麻衣。
すると、麻衣を見つけた美愉が走ってくる。
美愉「何かあったんですか?麻衣さん。で、こちらの方は?」
麻衣「知らない人よ」
美愉「知らない人と一緒に泣いてるんですか? ってこの人どこかで見た気が。もしかしてマンション焼け出された人ですか?」
美愉「あれ?この人どこかで見た気が。もしかしてマンション焼け出された人ですか?」
銀行員「そうです。ニュースに映ってたのかな?」