その日の帰り、梨香が授業が終わって校門に向かうと、ランドセルを背負った理佐が木の下から出てきた。
1年生はだいぶ前に授業が終わっているはずだ。
梨香「どうしたの?」
理佐は恥ずかしそうに笑うだけで返事をしない。
二人は並んで歩き出した。
崖の道にかかったとき、理佐は梨香に向かって手を伸ばした。
梨香「わかった。この道が怖いんでしょ」
理佐「うん」
梨香は朝と同じように、手を繋いであげた。
坂道を降りていきながら、梨香はこの大きな子を、横目で見上げて思った。
私は小さくても、この子より大きいんだ。
こうして、これから後、毎日大きな1年生は自分よりずっと小さい2年生に手を引かれて、崖の坂道を上がって行き、また降りてくることになった。