>>360
「八」

本土が敵爆撃機の航続距離圏内に入ると、海沿いの重工業地帯は格好の戦略爆撃の目標となった。
 元々欠乏傾向にあった船舶航空機燃料の備蓄が、油脂の精製工場を破壊された事で更に拍車をかけ、陸海軍共に作戦の遂行に支障が出始めていた。
 新型80mm高射砲も奮戦したが数が少なく、敵の大編隊を混乱せしめる程の組織的戦力を発揮出来なかった。
 各航空隊への燃料の割り当ても激減し、守屋と広瀬の司令部偵察機も偵察飛行に出る頻度が日に日に減っていった。
 そして敵空母艦載機による機銃掃射も始まり、飛行場に対空警報が鳴り響き、壕に退避する事が多くなった。