>>673
──弁慶に差し出す指の先まで美しいと思いながら観ていたのですが、義経を演じられていた1ヶ月間、上手く出来なかったとずっと思っていたのですか?
染五郎 
はい。あんな未熟な義経をお見せしてしまって申し訳ない、という気持ちしかなかったです。最後まで自分で納得できないまま終わってしまいました。
毎日落ち込んでいたときに出会ったのが、欅坂46のデビュー曲の『サイレントマジョリティー』でした。歌詞がその時の自分の気持ちにぴったりと重なって……自分の義経に納得がいかなくて、正直、諦めかけて、心が折れそうになっていたとき、毎日聴いていました。
「夢を見ることは時には孤独にもなるよ」という歌詞に励まされて千秋楽まで辿り着きました。欅坂46のすべての曲の歌詞に共通することですが、「自分は自分らしく生きろ。やりたいことをやればいい」というメッセージに力をもらいました。
──“推し”は平手友梨奈さんで、平手さんは、『龍虎』も観に来られたそうですね。全身全霊で踊られる姿がどこか重なります。
染五郎 
自分も8月に横浜アリーナで行われた欅坂46のライブに母と行きました。半分は単純に欅坂46のファンだからという理由ですが、もう半分はパフォーマンスや演出がとても勉強になるという理由もあります。
平手さんには、同じ表現者としてすごく刺激を受けています。
京都では、『連獅子』も『勧進帳』も、これまでうまくできなかったことをすべて直して、少しでも、これまでよりもっといいものをお見せしたいと思っています。