京丹波町曽根の塩谷古墳公園に設置されていた巫女埴輪(みこはにわ)の実物大レプリカ1体が、
29日までに破損して撤去された。田園風景が見渡せるよう、3月に古墳上部へ移設したばかり。
「SNS映え」する新たな観光客の撮影スポットになりつつあっただけに、
町教委や地元関係者は残念がっている。

 塩谷古墳群は5〜6世紀にかけて造られた12基からなる。
1989年に5号墳から高さ約70センチの巫女埴輪が出土し、
旧丹波町教委が93年にそのレプリカを制作した。
これまでは公園の入り口に設置していたが、観光客にPRしようと、
隣接する道の駅「京丹波 味夢の里」から眺望できる5号墳の上に取り付けた。

 埴輪の破損は、味夢の里の職員が9日に発見。2008年に破損して修復したまげ状の髪の部分が砕けていた。
町教委は人為的に壊されたとみて、南丹署に被害を相談した。

 味夢の里は、古墳教室を開き、「巫女」を商品名に入れた焼き菓子や麺などを販売。
地元高校生や大学生の協力で巫女埴輪を表紙にした塩谷古墳公園のパンフレットも制作し、
「SNSにアップしたくなるロケーション」などと、レプリカを紹介している。
同施設によると、移設後は埴輪と一緒に写真を撮る観光客が増えた、という。

 古墳教室の講師を務める湊友三郎さん(69)は
「古代ロマンを体感できる場所にあるレプリカだったので、壊されたのは残念」と語る。
町教委は「巫女埴輪は髪が無くなり、表情が険しく見える。
修復法や設置場所を検討し、公園のシンボルとしてできるだけ早く穏やかな表情を取り戻したい」としている。

画像:髪の部分が破損し、撤去された巫女埴輪のレプリカ
https://pbs.twimg.com/media/Deal7MlWkAAfvo1.jpg

京都新聞
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180530000079