『中1の軍曹』第6話

「あらどうしたの、こんな場所で」
菅井家の門構えが余りにも巨大なため、インターホンが見つからず、ウロウロしていると、ちょうど菅井先輩がタクシーで帰ってきた。
麦わら帽子を都会的に着こなすセンスと、休日に出会えたというプレミアム感で、僕は思わず見惚れてしまった。
「あの、先輩、ちょっとここじゃ言いにくいことがあるんすけど…」
「あら、まあいいわ。上がってちょうだい」
「すみません、失礼します」

「あのですね…」
ゴディバのチョコレートでもてなしを受けたせいか、なかなか頼み事が口から出ない。
「なに?私、キャプテンなんだから、なんでも言って」
「そうですか…じゃあ、言いますね。先輩って、美しいですよね」
「えっ、ちょ…ちょ…なによ急に。告白だったら、もっとちゃんとした場所で」
「あ、そういう話じゃ…」
先輩は続きを聞かずに、部屋を出ていった。
爺やを呼び出して、何やら指示を出している。
「今からランチするから、私のお父様も一緒に」
「お父様!?」
「うん、じゃあ30分くらいで出来ると思うから、ここで待っててね。おとうさま〜」