『中1の軍曹』第3話

流星群は河川敷の土手に突き刺さった。正体は黒いミサイルであり、それほど大きくはない。
思いっきり西を向いて刺さっているから、北朝鮮からの宣戦布告で無いことだけは確かだった。そう言えばJアラートは鳴ったのだろうか。

ミサイルの先端がパカっと取れた。
中から黒革ハードスーツの人物が現れた。
生地が体のラインに吸い付くように張り巡らされているため、スタイルの良さが際立っている。
顔はヘルメットで見えないが、女性のような出で立ちだった。右手には大きなタブレットを持っている。

「このバショは、ジパングでごわすか?」
直立不動のハードスーツ女は、ミサイルの中で大河ドラマでも見ていたのだろうか。
タブレット端末に日本地図を表示させ、なぜか九州を指差していた。
「その通りでごわすが、もっと北のこの辺でごわす」
恐らく間違っている薩隅方言を駆使して答えた。茜ちゃんは、僕の後ろに隠れている。
ハードスーツ女はヘルメットを取り、丁寧にお辞儀をした。
「アイガトサゲモシタ」
彼女がお辞儀から立ち直った瞬間、その美しい瞳に胸を打たれた。