途中、大型温泉アミューズメント施設があったけど、今回は寄らなかった。
「ユネッサンース!」
尾関が乾杯のようなポーズをとった。
「バスのアナウンスではユネッサン前と言ってた」
ラテがまたしても尾関を撃ち落とした。
「ねる……あれだよね?」
と、莉菜がまた私にささやいた。
「ユネッサン……せめて一拍旅行なら……」
尾関が残念そうに言った。

私たちは箱根湯本近辺で日帰り温泉を探し、ある旅館で温泉に入った。

「ああ……とろけるぅ……」
と、温泉に浸った莉菜が言った。
「汗かいたからこれでさっぱりするね」
泳ぐような手つきで尾関。
「冷えた麦茶が飲みたい……たまらなく……」
ラテが言った。

温泉に浸かりながら、私はなぜか黒たまごの事を思い出していた……。

家に帰ったあと、私は今回の旅行の事を日記に記した。
そして、私は最後に付け加えた。
『いつもはクールな女友達が、同じ名字の男性にちょっとドキドキしていた』

心に残る夏の空の色……。そして、友達……。

『-SKY- りなりなりなねる』(おしまい)