今宵は満月……。

寺の本堂に七人の女が集った。
そこに現れたひとりの比丘尼。

「虹花様」

その女の名!
―石森虹花―

「“ねる”を取り返しましたね……」

女たちは七色の玉を取り出した。

比丘尼は祈った。
「怪奇に呪われ……奪われた“ねる”……」

「七色の玉よ……さあ……ねるに……還りなさい……」

女たちの持つ玉は、あたかも虹を思わせる光となり、天に向かって伸びた。
光はからみあいひとつとなり、まばゆく白い光の柱となった。

光の柱に浮かんだのは、女の赤子の姿だった。

その女の名!
―長濱ねる―

女たちは喜びの声と共に、ねるを抱き上げた。

今宵の星は……美しい……。

『にじねる』(完)