……数時間が経った……。

夕日が沈み、もう夜になろうという時間……。
私は学校近くの歩道橋の上で、行き交う車のライトを見ていた。

私は、長崎さんの事を思い出して、とても悲しい気持ちになった……。

どうして?
こんなに楽しい事はないじゃない……!

えっ、何それ……?
私、何を考えてるの?

そう! 世界は愛に満ちてるんだよね! みんないい人!
みんな大好き! 私はねるちゃんが大好き!
うん! なんだか、どんどん楽しくなってきた!

えっ、私、何を考えてるの?

ねるちゃんと遊びたい!

えっ? えっ? どういう事?

楽しいだろうなぁ、早くねるちゃんと遊びたい!

えっ、私は私の事がわからない……。

笑い声がする……。
誰の?

私だ……私の声だ……。
私……笑ってるの……?

笑い声はどんどん大きくなっていく……。

次の瞬間、私の意識は途切れた……。


『りかねる』(完)

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注1・作中のDID(Dissociative Identity Disorder)の解説は実在のものと異なる部分があります。
注2・作中、MRIを含めた脳検査で異常が発見できないといった表現がありますが、設定上のフィクションです。
注3・(おまけ)『てくねる』と共通・類似したシチュエーションやセリフがありますので、読み比べすると楽しめます。