欅坂×不良学園ドラマ [無断転載禁止]©2ch.net
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アドバイス・感想等があれば、ありがたくいただきます。
欅×不良学園ドラマ 一
「唯、一緒に帰ろう」
「うん」
友達に声をかけられて、私は鞄を手に取った。
この学校に入学してから、そろそろ一ヶ月になる。
始めは知らないことや初めてのことばかりで、慣れない気持ちで過ごしていたが、やっとこの学校の生活に馴染んできた
都立欅坂女子高等学校。格式を重んじ、友愛の精神を大切にする校風に憧れて、私はこの学校に入学した。
学校の格調の高さに相まって、その偏差値も高く、正直受験は苦労したけれど、なんとか入学することができた。
そして、一年生の春がはじまった。
「いいよね、ここ」
私は、校舎の脇の、きれいに掃除された道を歩きながら、隣を歩く友達に言った。
「そうだね。入ってよかった」
学校の雰囲気はとても落ち着いていて、クラスの他の友達も、みんな知性と優しさをあわせ持つ、いい人たちばかりだ。
日の光を受けて白く輝く校舎の外観を見上げながら、私は満ち足りた気持ちになっていた。
「ねえ、あれなんだろう?」
すると突然、友達が前方を指差して言った。
「なに?」
私は彼女が指差す先に目を遣った。
見ると、前方の校門のすぐ外側に、見かけない姿をした人たちがいる。
「なんだろう……?」
校舎に近づくにつれて、その人たちの姿がよく見えてきた。
(なに?こわい人たち……?)
校門の外にいるのは、4人の――おそらくは――男子学生であった。
もちろん、女子高であるこの学校の生徒ではない。
見たところ、まだ10代の男子だ。 欅坂×不良学園小説
志田の突きを受けて、平手の体が1メートルほど宙に浮き、大きな音を立てて床に倒れた。
「・・・・・・」
突然の展開に、この闘いを見ていた誰もが唖然となり、場がしん、と静まり返った。
「・・・・・・お、おお!」
「やった!」
少し遅れて、志田のグループのメンバー達が思い出したように各々歓声をあげ、辺りが騒がしくなる。
・・・・・・やられた。
今志田が放ったのは、空手で見られる技である追い突きだ。
左前の構えから、床を蹴った右足を前に出し、その右足が床に着く前に、さらに、後ろ足になった左足で床を蹴る。
こうして得られた二段階の加速で、志田は3メートル近く離れた平手との距離を一瞬で詰め、その勢いと全身の力を一点に集中させた突きを平手に撃ち込んだのだ。
・・・・・・こんな技を持っていたなんて。
先までの平手優勢の状況から、志田はこの一撃で一気に形勢を覆してしまった。
床に倒れた平手はぴくりとも動かない。
「・・・・・・平手くん!」
隣で、我に返ったように今泉が声をあげた。
そして今泉は、倒れた平手に駆け寄ろうと、一歩前に足を出した。
「待て!」
とっさに俺は今泉の肩に手を掛けて、今泉を制止する。
今泉が、どうして止めるのかというような表情でこちらを振り向いてきた。
だが俺は首を横に振る。
まだだ、まだ分からない・・・・・・。まだ平手は立ち上がることが出来るかもしれない・・・・・・。
だが、その思いに反し、平手は一向に立ち上がる様子を見せない。
「はあ・・・・・・はあ・・・・・・は、ははっ!どうだ見たか!」
志田が、突き出したままでいた右拳を下ろし、平手に向けて勝ち誇ったように悪態をついた。
だが、そうぎこちなく笑う志田の顔には、驚きと焦りの色が読み取れた。呼吸は荒れ、肩が大きく上下している。
平手の猛反撃は、志田に対して大きなダメージを与えていたのだろう。
だが結局、そのまま志田を倒すことは叶わなかった。
「・・・・・・」
周囲のざわめきも次第に落ち着いていき、やがて静かになった。
志田を含めてここにいる全員が、平手が立ち上がるかどうか、あいつを注視している。
だが、こちらに背を向ける形で横向きに倒れている平手は微動だにしない。
ここからではその顔は見えないが、もしかすると、意識を失っているかもしれない。
──もう、ダメか・・・・・・。
俺たちの負けなのだろうか・・・・・・。
するとその時だった。
「・・・た・・・ない」
微かに声が聞こえた。
見ると、倒れていた平手が床に腕を立てて、とてもゆっくりした動きで、その身を起こした。 地方民だから残酷な観客達見れてない・・・
どうだったのかな?
面白かったのかなあ(´・ω・`)? >>259
ドラマとしては微妙だったかな・・・
理佐ちゃんに変顔させるなんて許せんです >>260
なんか皆さんいろいろ思うところがあるようで
(´・ω・`)
あと、いろいろあって書けてません。
でも、投げ出さないよう頑張ります。 だめです。表現や言葉が見つかりません。
もう少し時間を。 ぺーちゃん、理佐さんありがとう。
いま仕事の昼休みです。
ちょっと壁を感じてますが、今夜必ず書きます。 欅坂×不良学園小説
平手が、立ち上がった。
あれほどの攻撃を受けたら、普通、意識を失ってもおかしくない。
それにもかかわらず、平手はまだ闘う気配を見せた。
「・・・・・・ない」
平手が独り、小さく口にする。
──いや、でも・・・・・・。
自力で立ち上がった平手を見て、まだいける、と俺の気持ちは一瞬盛り上がったが、その驚きと興奮もすぐに、危機感に上塗りされた。
立っているとはいえ、平手の足元はあやうげで、少し押したらそのまま倒れてしまいそうなほどに、やっとのことで平手の体をささえているように見える。
「わたさ・・・・・・ない・・・・・・」
譫言のようにそう唱え続ける平手の顔は、いつにもまして血の気を失って真っ白で、うまく呼吸できいないのか、平手の肩は小さく何度も上下している。
「わたさない・・・・・・」
だが、その眼だけは力を失っていなかった。
乱れた前髪の隙間から覗く片目は、まるで何かにとり憑かれたように志田を見据えている。見るものを焼き焦がすような鋭い視線。尋常ではない執念が、その三白眼に感じられた。
「てめえ・・・・・・」
その姿を見た志田が、苦虫を噛み潰したように顔をしかめた。
決め技ともいうべき攻撃を二度も受けていながらも再び立ち上がったことが予想外だったのだろう、志田は顔に不快感をあらわにしている。
「・・・・・・さんは・・・・・・わたさない」
平手が再び呟く。
その言葉は周りにいる奴らにはっきりと届かなかったであろうが、俺には平手が何を口にしたのかが分かった。
「もう・・・・・・もういいよ・・・・・・」
隣で今泉が、悲痛な面持ちで呟いた。
自分のせいで平手が傷ついていくことに耐えられないのだろう。
だが、あいつが今見ているのは、きっと、今泉のことではない。
──それほどまでに、お前は・・・・・・。
俺たちの目の前で、平手は再び、闘いの構えを取った。 >>269
てち頑張れ!
投稿ありがとうございます m(__)m >>270
ありがとうございます。
また頑張ります。 >>273
本当にすみません。
残業がひどくて。ほんとですよ。 申し訳ありません。
あと二日ほど更新できないかもしれません。 >>274
>>275
楽しみに待ってますから大丈夫です
マイペースで書いてください 大丈夫やで。
2ちゃんの小説は放置してなんぼやで。(暴論) >>278
あやまってんじゃねーよ
不器用な励まし方ですまんですm(__)m >>279
>>280
>>281
ありがとう。
絶対ここで終わらせませんから。 >>283
率直な意見ありがとう。
確かに投稿したあとに「これ、くどいな・・・」と思うことはあります。
ただ自分は戦闘シーンにこだわっていきたいです。
それは自分が戦闘とかで詳しい描写をしている本が好きなのもあるし、書く側に立ったときも、このキャラはこういう戦闘スタイルをもっていて・・・と想像するのが楽しいから。
なので、なるべくしつこくならないように注意しますが、「激しい攻防が続いた。勝ったのは○○だった」というような抜本的な変更はできません。申し訳ない。
あと、ストーリー性は多分あまりない!笑
まあ、多くの人の好みには合わないかも・・・ >>284
個性はそれぞれだからそれで良いのではないだろうかと思う今日この頃
万人の好みに合わせようとしたら先生の個性も無くなってしまうのでご用心ご用心 俺は楽しみに読んどるから気にせんで
気にし過ぎると崩れることもあるし >>285
>>286
ありがとうございます。
いま昼休み中です。ちょっと一般的ではない仕事で、休みがなくて・・・
書き留めがいま60%ぐらいです。 こんなスレあるの初めて知りましたわ
今度一気読みしよう
志田とねるの方のスレなら全部読破してるんだけどな >>287
気長に待ってますから大丈夫ですよ
忙しい時は体に気をつけてください >>288
よろしくお願いします。
>>289
お気遣いありがとうございます。
書き留め80%です。近いうちにいけます。 あっちのスレで勇気づけてくれてありがとうございます
お陰さまでふっ切れましたm(__)m
先生の作品楽しみにしとります >>291
なんだ、同一人物だとバレてたか。
恥ずかしい。
IDは違って表示されてるのかと思ってたけど・・・
なんでわかったんですか? >>292
たまにですが何度かやりとりした人は雰囲気でなんとなく分かってしまうんです
勘が鋭くてすいませんm(__)m
これからもよろしくお願いします ちょっと時間がたりませんでした。
明日の今頃更新出来ると思います。 >>293
あっなるほど(_ _)
一人称や言葉遣いも変えたつもりでしたが・・・苦笑
今後ともどうぞよろしくお願いします。 申し訳ない。
少し、文章を整える時間をください。
95%は出来てます。 >>296
俺のせいで先生の貴重な時間を奪って申し訳ないですm(__)m >>289
そんなことないよ理佐ちゃんさん。
このスレも、あなたたちに刺激されて始まったんだから。
さて、今夜で仕上げて投稿します。 欅坂×不良学園小説
(なんなんだ・・・・・・こいつは)
俺の追い突きを食らっておきながら、平手はまたもや立ち上がった。
再び構えた平手が、怨念めいた執念を発する眼でこちらを睨む。
──気味の悪い奴め。・・・・・・まあいい。
気持ちを切り替え、構え直す。
見るからに平手はもうフラフラの状態だ。こんなの一発当てれば倒れる。
すっ・・・・・・すっ・・・・・・と足を前に運び、少しずつ平手との距離を詰める。
攻撃可能な間合いの一歩手前まで、距離が狭まった。
冷静に、平手の隙を探りながら攻撃の機を伺う。
(一発当てれば終わ)
すると不意に、前方で構えていた平手の体が、ふっ、と沈んだ。
──消えた!
次の瞬間、2メートルほど前にいた平手が、いきなり眼の前に現れたように見えた。
「っ!」
平手は右ストレートを繰り出してきた。
とっさに腕を盾にすることで防ぎ、斜め後ろに下がって平手から離れる。
──なんだ今のは!?
平手の拳を受けた左の前腕がじん、と痛む。
(速い・・・・・・)
膝の力を抜き、崩れ落ちるように前に動いた動きに乗せた右ストレート。
あらかじめ感知することを許さない一瞬の攻撃だった。
幸いにも平手は追撃してこなかったが、その攻撃に反応するのに手一杯で、こちらも反撃することが出来なかった。
(なぜだ・・・・・・なんでこんな状態でさっきより速くなる!?)
今の攻撃は、これまでの平手の攻撃のなかで一番速いものだった。
しかし、なぜこの状態でそんな攻撃を繰り出すことが出来るのか。
(落ち着け・・・・・・)
たまたま不意を突かれただけだ。慌てず、平常心で対処すれば勝てる。
だが、冷静に平手を見てどう攻めるか考えようとした矢先、さっきよりも遠間にいたはずの平手が、またもや攻撃のそぶりを見せることなく、間合いを詰めてきた。
──!!
来た、と気づいたときにはすでに平手は眼前に迫っている。
危険を感じた体が無意識のうちに防御反応をとり、体の前で交差させた両腕が半ば偶然、平手の右ストレートを防いだ。
──くそっ!
守りに身を固めたこんな体勢では反撃どころではない。平手に追撃されないように、大きく後ろに下がる。
(なんなんだ、こいつは!?)
二度にわたる単発の攻撃を放った平手は、構えてこそいるが、その姿はまるで霊であるかのように朧気で、意識があるのかさえはっきりしない。
ただ、その眼だけが異様なまでの鋭さで、こちらを睨んでいる。 欅坂×不良学園小説
(もう一発だ。もう一発当てれば・・・・・・)
腹に残る、ずうんとした鈍い痛みが集中を妨げようとしてくる。
体の動きも重く感じる。
先の連打が思った以上に体に響いていた。
これ以上、攻撃は食らいたくない。
(守りに入るな)
あと一撃与えれば、平手は倒れる。守りに回ってはいけない。攻撃に転じなければ。
足を前に運び、こちらから間合いを詰めて仕掛けていく。
──フェイントで誘う!
その様子から判断するに、今の平手の身体を動かしているのは俺に負けまいとする執念だろう。
つまり、倒れてもおかしくないなか、気持ちだけで立っているようなものだ。平常時の冷静な思考は失われているに違いない。
闘争本能で動いているのなら、反射的にフェイントに引っ掛かるはずだ。
前進するとともに、左腕をふっ、と素早く小さく動かした。
(左はフェイント。右で仕留める!)
左の突きに対しては左手で防ぐのが定石。防御しようとすれば、その分隙ができる。そこを突く!
──!?
しかし、平手はその誘いに乗らなかった。
動かされた志田の左腕に何の反応を示すことなく、一瞬あとに連動して繰り出された志田の右ストレートを左手で捌いた。
それだけではない。あろうことか平手は反撃に転じ、右拳をこちらの喉めがけて繰り出してきた。
──くっ!
攻撃が当たる寸前に、なんとか空いていた左手でそれを防御できた。
ばっ、と後ろに跳んで平手から距離をとる。
(もう一度・・・・・・!)
体勢を整え、再び平手に向かう。波状攻撃で平手に落ち着く暇を与えない。
今度は、右手で攻撃のそぶりを見せる。
──本当の狙いは、左!
勢いに乗せて、左の突きを平手に向けて放った。
だが平手は、それを左の掌で受け止めた。またもフェイントにひっかからない。
──ちっ!
ならば、と繰り出した右ストレートも、平手の体に届く前に平手の右手で押し退けるように逸らされた。
バシッ!
「ぐっ」
不意に左の肘と横腹に衝撃を感じた。
反射的に後方に跳び、平手から距離を取る。
俺の右ストレートを受けた平手が、右回し蹴りを当ててきたのだった。
脇をしめる形で左腕を体に引き付けていたため、平手の蹴りをまともに食らった訳ではなかったが、それでも息苦しさを感じる痛みが脇腹から肺の方へにじんでくる。
(なぜだ・・・・・・)
二度のフェイントのどちらにも、平手は惑わされなかった。 欅坂×不良学園小説
──まさか、見切られている!?
そんなはずはない。こんな状態で。闘いの序盤では引っ掛かったというのに・・・・・・。
(くそ!)
ならばもう、小手先の技は必要ない。
多少のダメージは我慢して、撃ち合いでケリをつける。
俺は体の前に両拳を構え、ぐん、と前進した。
そうして、突きやフックといった拳の攻撃を主体に、平手に打ちかかる。
(倒れるなら、奴の方が先だ)
消耗戦なら、体力のある俺が有利。連続攻撃で平手の体力を削り、倒す。
ガッ。
一撃目の突きは防がれたが、そこで終わらない。矢継ぎ早に次の攻撃を繰り出す。左右の連続フック。
平手はその攻撃も防ぎ、俺と距離を置こうと後方に後ずさった。
だが俺は、平手を逃がさないよう、間髪置かない素早く細かい足運びで、詰めた間合いを保ち続ける。
再び、殴打による攻撃。
この距離なら、蹴り技は近すぎて威力を発揮できない。
このままダメージを蓄積させれば、奴の防御はどこかで崩れるはずだ。
だが、俺の攻撃を受けて、平手も反撃の拳を繰り出してきた。
平手の右腕が、小さく鋭い弧を描く動きを見せた。
至近距離のため、突きではなく側面を狙うフック。
左腕を立ててそれを防御する。そして、すぐにこちらも反撃する。
鈍い打撃音が短い間を置いて連続して鳴った。
相手の拳を受けては攻撃を繰り出す、拳と拳の撃ち合いとなった。
ドッ!ガッ!ドッ!
互いに有効打を与えられないまま、殴打の応酬が続いた。 欅坂×不良学園小説
攻防のなか、放たれた平手の右ストレートを、俺は左手で、上へはね上げるように半ば強引に払った。
(ここだ!)
そうして空いた奴の腹部に右ストレートを打ち込むべく、右拳を引こうとしたときだった。
バッ!!
わずかに右腕を動かしただけなのにもう攻撃を察知されたのか、平手が異常な速さの反応で、後方に跳んだ。
──!!!
その瞬間、平手の動きがスローモーションに見えた。
スロー再生した映像のように、平手の体が宙を後方へと飛んでいく。
それだけじゃない。素早く繰り出そうとしているはずの自分の右ストレートが、遅々としたスピードで前に向かって伸びていく。
あらゆるものがゆっくりと動いて見える。
一瞬であるはずの時間が、とても長くに感じられた。
──外した!!
後方に避けた平手に、俺の拳は届かない。
俺の右ストレートは空を突いた。
(来る!)
後ろに下がって攻撃を避けた平手は、おそらくこのあと前に突っ込んでくる。
バックステップで敵の攻撃をかわし、そこから前に踏み込んで攻撃を繰り出す、前後反復の機動。
俺は迎撃の体勢をとろうと、突き出した拳と伸ばした後ろ足を元に戻そうと、腕と足を動かし始める。
まだ、全てがゆっくり動く感覚は続く。
いまやっと、平手の後ろ足が床に着地した。
平手はきっと、ここから前に飛び込んでくる。
──奴が右ストレートでくるなら、左アッパー!
平手が前に突っ込んできたところに、カウンターのアッパーを食らわせてやる。
俺は腰を小さく左に捻った。 欅坂×不良学園小説
──いや、違う!
その一瞬、閃くようにその先程の攻防が脳裏をよぎった。
(さっきと同じか!)
前に飛び込んでくる途中で急制動をかけて、俺の左アッパー空振りさせ、そこを突く攻撃。
先ほどはそれにやられた。
──なら、右ストレート!
思考が目まぐるしく回転する。
リーチのある右ストレートなら、平手が途中で動きを止めようと、奴の体に拳は届く。
俺は右拳に力を込めた。
(いや待て)
嫌な予感がし、びくりと体が一瞬硬直した。
──奴の狙いは、こっちか!?
俺が右ストレートで飛び込んだところで、左アッパーで応じる。
先ほどのやりとりのなかで、奴はその対応パターンも見せていた。
──どっちだ・・・・・・!?
左アッパーは急ブレーキでかわされる。
右ストレートは左アッパー。
右と左、どちらの攻撃も対処される可能性があった。
ならば蹴り技というと、蹴り技は攻撃の際、体を支えるのが片方の足になる。
かわされて、さらに体勢を崩されれば、こちらは転倒して危険な状況になる。
(蹴り技は出来ない)
ならば、やはり突き。
──だが、どっちを!? 欅坂×不良学園小説
(どっちだ!?)
平手の出方が分からなかった。
──わからねえ!・・・・・・なら!
俺は後ろ足になっている右足に力を入れた。
(奴が突っ込んで来る前に倒す!!)
右足、そして左足で床を蹴る。
──追い突きで!
二段階の加速。平手に向けて一気に肉薄する。
平手は今、バックステップから着地したばかりだ。後ろに向いていたベクトルを前に変えるには、少なくとも一瞬は時間を要する。
平手が前に出てくるより早く、追い突きで奴を仕留める!
──もらった!!
右足の踏み込みに合わせて、右腕を平手に向かって伸ばしていく。
奴の喉元めがけて腕が半分ほど伸びた、その時だった。
──なっ・・・・・・!?
目の前で平手が、不可解な動きを見せた。
なぜか、その身体を後ろに反転させると同時にその場に屈みこみ、こちらに背を向けてきた。
(なんだ・・・・・・何を・・・・・・!?)
悪い予感がした。
だが、前に踏み込んだ体は、もう止まらない。
追い突きの右拳が、背を向ける平手の右肩のすぐ上を通過した。
そして、手首辺りをぎゅっと圧迫される感触がした。
俺の右腕を平手が両手で掴んだのだ。
体の前面に平手の背中が当たる。
──!?
前にぐい、と引っ張られる。
足が床から離れ、持ち上げられた体が宙に浮いた。
前のめりになり、平手の身体を越して視野一杯に床が映る。
そして、視界が暗転した。
「ぐっ!!」
次の瞬間、大きな衝撃が背中から全身に伝播した。
その衝撃に一瞬息が止まる。
(投げられた・・・・・・!?)
何が起きたのかということに意識がとらわれるあまり、不思議と、あまり痛みは感じなかった。
──!!!
反射的に瞑ってしまった目を開けると、俺の真上に、右拳を横腹に引き付けてこちらを睨む平手がいた。
(しまっ・・・・・・)
その拳が、こちら向かって突き出される。
「ぐあっ!!!」 まとめて投稿したほうがよいのでしょうか?
どなたかご意見をお願いします。 >>309
少しづつでも毎日の方が読んでてテンションは持続するのかな?
でも先生の流儀でやるのが一番かと思います かけた分だけ、でもなるべくまとまりのよい形で
その都度投稿していきたいと思います。 >>314
兵庫県・・・?
はじめまして、でしょうか。 欅坂×不良学園小説
(何!?)
激しい攻防のなか、志田が再び追い突きの動きを見せたかと思うと、その刹那、平手がくるりと身を翻した。
平手が志田に背を向ける形となる。
志田の追い突きは止まらない。志田はそのまま平手に向かって突っ込んでいく。
──!!!
だが、志田の追い突きは平手には当たらなかった。志田の右拳は、後ろ向きに屈み込んだ平手の肩の上を通過した。
そして次の瞬間、平手の背中を支点にして、志田の体が勢いよく上に持ち上がった。
ドスンッ!!
重みのある衝撃音が響く。追い突きの勢いもあってか、志田の体は、見事に地面に落下した。
追い突きにより突き出された腕を掴んだ平手が、志田を背負い投げたのだ。
「!」
二人の回りを囲む他のメンバーたちにも衝撃が広がる。
声を発する間もない一瞬の出来事に、何人もがその息を呑んだ。
地面に仰向けに倒れた志田は無防備な状態になっている。
そして志田が身を起こすより早く、平手が志田の真上に回りこんだ。
平手の正拳が、倒れた志田に向けて突き下ろされる。
「ぐあっ!!!」
痛烈な一撃に、志田が大きな声をあげた。
だが平手の攻撃はそれだけで終わらない。
「うっ!ぐっ!ああっ!!」
平手は容赦なく畳み掛ける。瓦割りのような体勢で、一発、二発、三発と、その正拳突きが志田に突き刺さる。
無防備な状態の志田は、されるがままに平手の拳を腹部に受けた。攻撃を受けるごとに苦痛の声が大きくなる。
(いける!──!?)
だが、平手が四度目の拳を突き下ろそうとしたその時だった。 欅坂×不良学園小説
それまで平手の攻撃を受けるままだった志田が、突然その眼を剥いた。
──まずい!
深追いしすぎだ。だが、「離れろ」と平手に警告を発するより早く、四度目の拳を受けた志田が、自分の腹に突き立てられた平手の腕の手首を、両手でガッと掴んだ。
「調子に、乗るなあぁっ!!」
いきり立った志田の怒声が響いた。
平手の腕を掴んだ志田は、その両足を上に撥ね上げ、平手の右腕を間に挟む形で、片方の足を平手の首元に、他方を胸元に絡めた。
そしてその腕を床の方へと引っ張り、引きずり落とすように平手を床に倒す。
──十字固め!!
相手の体に直角に足を乗せる形で、その足で相手の腕を挟み、反らせるように極める関節技だ。
「あああああっっ!!」
平手の悲痛な叫びが響いた。
床に倒れた体勢で体を志田の両足で固定され、平手は身動きすることが出来ない。
そしてその状態で、右腕を引き伸ばされる。
腕に過大な負荷がかかり、激痛に平手の顔が歪む。
腕を伸ばされないように、腕を自分の方に曲げ戻して抵抗しようとするも、志田の十字固めは解けない。
「ぬううっ!」
平手の腕を引きちぎらんというばかりに、歯を食いしばった顔の志田が、さらに力を加えた。
平手の大きな悲鳴があがる。
──ヤバイ!
このままじゃ、平手が危ない。
二人の闘いが危険な領域に入っているのを感じ、俺が二人の闘いに割って入ろうと、一歩足を前に出したときだった。
「やめろっ!!!」
突然、大きな声がその場に響いた。 お疲れ様です
クオリティー維持のためにも気にせず先生のペースを守ってください >>320
>>321
いつもありがとうございます。また、書きためますね。
>>322
平手ちゃん!?新しい方ですよね!
よろしくお願いします。 寝てしまったハコオシ先生に「寝てんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃんだけど
「楽しみ過ぎて朝まで寝ないで待ってたんだからね」
なんて眠い目こすりながら言ってくれそうだから好き >>325
縦横無尽のご活躍、感服します。
そしてすみません。まだ出来ていません。 >>326
小説スレで先生に励まされたお陰ですm(__)m
ドンマイです! >>327
ありがとうございます。
でもなんか、書くのがキツイ・・・
皆さんすごいですね。私は皆さんほど筆が走らない・・・ >>328
煮詰まってますか!?
たまに違う話を書いて気分転換してみるのも手ですよ
小説スレは妄想変態野郎の集まりですからww >>329
ありがとうございます。
本作を踏ん張りつつ、気分転換もしていこうかな。 >>330
俺も小説スレで気まぐれに色々な理佐ちゃんシリーズ書いてますけど複数連載はお勧めです
複数連載してると毎日なんかしら書くことが浮かんで来るから楽ですよ
もっとも俺の書いてるのは理佐ちゃんの個スレに書いてた妄想がベースだから参考外かもしれませんがw 欅坂×不良学園小説
突然響いた声に、その方を振り向くと、声をあげたのは渡邉だった。
そのイメージからはかけ離れた大きな一声に辺りは水を打ったように静まりかえり、誰もが驚いた顔で渡邉の方を見ている。
見ると、平手に十字固めをかけている志田も、床に横になった状態のまま顔を渡邉の方に向けている。
「マナキ。もういい。もうやめよう」
志田の方へ歩き出しながら、渡邉は志田に声をかけた。
「なに・・・・・・?」
志田は平手を拘束したまま、渡邉に対して険しい目を向けた。
十字固めはかけられたままだが、平手も苦しそうな表情でいながらその目を渡邉のほうに向けているところをみると、多少力は緩められているようだ。
「もうやめよう」
渡邉は再び志田に対して言った。
「二人で話がしたい。一緒に来てくれ」
闘いに水を差され、今にも怒りだしそうな志田に気後れすることなく、渡邉は決然とした真顔で、静かな口調で志田に言った。
志田は床に横たわったままでは様にならないのか、──けれど、平手から手を放していいか、平手と渡邉を交互に目を遣って少し逡巡したあと──固めていた平手の腕を放し、ばっと素早く立ち上がった。
そして、平手と俺たちの方に鋭い目を向けると
「ここで待っていろ」
と吐き捨てるように言い、踵を返して渡邉と共にフロアの外、建物の廊下へと消えていった。
志田と渡邉の姿が見えなくなったとき、
「平手君!」
と、我に返ったように今泉が平手のもとに駆け寄った。
床から身を起こしていた平手はその場に片膝をついて、左手で志田に技をかけられていた右腕を痛そうにおさえていた。
駆け寄った今泉が、なにやらいろいろと平手に声をかけている。
「・・・・・・」
勝敗はどうなったのだろうか。闘いによる痛みに苦い顔をしている平手と、平手のそばに心配そうな顔で両膝をつく今泉を見ながら、俺は思った。
他のメンバーたちが口々に話すのが聞こえる。闘いの思わぬ結末に、奴らも戸惑っているのだろう。
そのざわつきは、しばらく止むことはなかった。 >>331
ありがとうございます。
短くて質も悪いですが、今日はこれだけでも。 >>334
ぺーちゃんありがとう。
少しずつ前進しますから。 スレ主さんが心配してるみたいやから釈迦に説法のつもりで
dat落ち=過去ログ倉庫行きの基準について書いてみるで
スレがdat落ちする原因にはざっと以下のようなものがあるんや
@スレが完走した場合(1000レスorスレ容量が512KBに到達)…下記の圧縮が行われなければ完走後約1日でdat落ち
A2ch管理人による削除
B最終レスから〇〇時間空いた場合(俗に突然死と呼ばれる)
Cさらにスレ立てから〇〇レス以内にはBの基準がさらに厳しくなる場合がある(俗に即死と呼ばれる)
Dスレ立てから〇〇日が経過した場合(俗に〇〇日ルールと呼ばれる)
E板のスレ保持数に従っていわゆる圧縮が行われた場合
このうち@Aはどの板でも条件は同じやけど、BCDEは各板ごとに設定が異なるんや
しかも2ch運営はその板ごとの基準をほとんど明言しないばかりでなく、気まぐれにちょこちょこ変えたりするもんやから、たちが悪いんや
なので最近の欅坂板の様子を見ての推測での話になるんやけど、現在おそらくBCDは設定されてないはずや
Eの圧縮っちゅうのを念のため解説すると、現在欅坂板のスレ保持数はおそらく700ぐらいのはずや
なので、新しいスレが立って総数が例えば730〜750近くなると、間欠的に10〜50程度のスレをまとめてdat落ちさせてスレ数を700前後まで落とすんや
これが「圧縮」や
その圧縮のターゲットになるのは主に、その時点で完走しているスレ(→完走後1日経たずに落ちることになる)と、書き込みが滞ってるスレなんや
現時点で見てると、最終書き込みから1週間ほど間が空くと、この餌食になる可能性が高くなるみたいや
もちろんこれはその時のスレ立ての勢いとかにもよるから常に変動の可能性あるんやがな
まあとにかく、少なくとも1日〜2日に1レスあれば現状でdat落ちの心配はあらへんと思うわ
長くなってもうた
えらいすんまへん >>337
米さんありがとう。
さすが米さん。博識やね。
というか、なんか久しぶりな感じ。
寂しかったよ(^_-) >>339
申し訳ないです。本当にありがとうございます。
書こうとしても地の文と会話文の繋ぎがうまくできなくて・・・
投げ出しはしませんから。信じてください。 >>340
この悩みわかります
会話挟むの難しいですよね 欅坂×不良学園小説
「どういうつもりだ!!」
別の階の個室に入るなり、俺はリサオの襟首を両手で掴んで、リサオを壁に押し付けた。
ドン、と衝撃でリサオの体が揺れる。
──俺の戦いを邪魔するなんて!いくらこいつでも・・・・・・!!
だがリサオは、しんと据わった瞳でこちらを見つめてきた。
「あれじゃただの潰し合いだ。なんのメリットもない」
「なに!?」
メリットだと!?そんなもの関係ない。俺はただ、あの生意気なガキを叩きのめせればいいだけだ。
「落ち着いてくれ、マナキ」
リサオは、あたかも俺が冷静さを失っているかのような口ぶりで、襟首を掴む俺の両手に手をかけてきた。
「彼女を平手にあげよう」
「なんだと!」
あろうことかリサオは、今泉を平手に与えること、──つまりは奴がこの勝負に勝利することを意味する──を提案してきた。
「あの二人が仲間になるなんて、思ってもないチャンスだ。利用しない手はない」
襟首を掴まれながらも、リサオは落ち着いた口調で言う。
「近頃、守屋が勢力を取り戻しつつあるのはマナキもわかっているだろう?きっと、また戦いが起きるのも近い。今は守屋に備えるのが最優先だ」
リサオが考慮しているのは、守屋のことのようだ。
確かに、先代の土生さんが守屋の侵攻を防ぎ、その力を大幅に削いでから半年近く。徐々に守屋は、その勢いを取り戻しつつあった。
「平手と鈴本の実力は、うちの主力メンバーと遜色ない。戦力は一人でも多い方がいい。
でも、佑唯をこのままと僕たちのものにすれば、平手たちはきっと僕たちの仲間にならないで、また僕たちになにか仕掛けてくるだろう。
でも、これ以上の闘いはお互い消耗するだけだ。それなら、いま恩を与えておいて、彼らを使う方がいい」
リサオはそう言ったが、俺は素直にそれをのむことはできなかった。
「あんなやつらと一緒に闘えるか!」
奴等を仲間に加えるとしても、今泉を自分のものにするために俺たちの仲間になるという、そんな奴、どうして信用できるというのだろう。
裏切りや敵前逃亡、それらの可能性は十二分に考えられた。
「その時は彼女を人質にでもすればいい」
リサオは冷静な調子で答えた。「彼女を僕たちの手の届くところにおいておけば、あの二人だって君に従わざるを得ない」
「・・・・・・」
リサオのいうことは一理あった。俺はこれ以上、反論する点が思い付かなかった。 欅坂×不良学園小説
「あの二人を仲間に加えよう、マナキ」
リサオが、俺の指に自身の指をかけて、襟首を掴む俺の手をほどいた。
近い距離で、俺たちは向かい合う。
「お願いだ」
俺のことをまっすぐ見て、リサオは言った。
「だが・・・・・・」
とはいえ、一つひっかかるところがあって俺が渋っていると、
「さっきの勝負、誰が見ても君の勝ちだ」
と、俺の胸中を見抜いたようにリサオが言った。
「まあ直前の平手の巻き返しには驚いたけど、最期のあの状況じゃ、平手はもうどうしようもなかった。彼女を平手に与えても、メンバーたちは君が負けを認めたとは考えないよ
。
だけど、キミが勝ったらあの二人は手に入らない。だから僕が止めたんだ」
リサオは思慮深く先のことを考えていたようだ。
そして、リサオは少し首を傾けて言う。「別に、あの子に思い入れがあるわけでもないだろう?」
確かに、なんの戦力にもならない女一人と、それなりに役立つあいつら二人。冷静に考えれば、どちらを取ったほうがいいかは明らかだ。
「・・・・・・仕方ねえな」
だが、リサオの提案に全面的に同意するのは面白くなかったので、俺がそのように答えると、
「ありがとう、マナキ」
と、リサオはふっと微笑んで答えた。 少し雑かも知れませんが・・・
苦しいなか声をかけてくれた平手ちゃんと理佐にこれを捧げます。 >>344
ありがとうございますm(__)m
これだけ細かい描写が書けるのは素直に凄いと思います >>345
少しずつ表現のバリエーションを増やせたらいいんですけどね。
秋が来る前には完結させたいなあ。 >>347
ありがと米さん。
「偽」なんてつけなくていいのに。
最近平手ちゃんが新しく加わりました(^^) >>348
現状は6〜7日空くとヤバいっていう感じやで
2日に1レスあれば十分
>>389
いや、米さん潔癖症だからw
こういうところはちゃんとしとかんとw >>351
他のスレでみた「保守」という言葉の意味がやっとわかりました。
先週の歯間イジリに慌てる米さん、可愛かった笑
>>350
もな推しの人とか、見てくれてないかなあ。
今日は半休もらえたので、夜までずっと書きます! >>352
楽しみに待ってます
頑張ってください!
でも無理すると反動が来るのでご用心です >>353
ありがと理佐ちゃん。
ところで疑問なんですが、女の子って、それほど親しい関係にない(むしろ険悪な仲の)男の人に対して、心のなかでどう呼んでるんだろう?
例えば、「たかし」という他人に対して心のなかで何か思うとき、男なら
(たかしの奴、どういうつもりだ?)
とか、その人のことを呼び捨てると思うけど、女の子はどうなんだろう・・・・・・?
呼び捨てなのかな?一応、君付けなのかな?
だれか女の子、いませんかー? 欅坂×不良学園小説
「平手くん!」
平手くんのもとに駆け寄ると、彼は床に膝をついて、さっきまで志田くんに攻撃されていた右腕を左手で押さえていた。
「大丈夫!?」
私の方を見上げた平手くんは、ひどく疲れたような目をしていてた。
さっきまで見せていた恐いぐらいの気迫は見る影もなく消え、背を丸めたその細い体はいつもより小さく見える。大きく息をつく平手くんの姿は、今にも消えてしまいそうなほど、弱って見えた。
「大丈夫?痛い?」
彼の元に膝をついて声をかけるも、何かしてあげられる訳でもない。
彼の体に手を添えるほか何もできない私に、平手くんは何も言わずに力なくその口許を曲げて、ゆっくりと首を振った。
そして、そのまま立ち上がろうとする。
「あっ!」
立ち上がろうとした途端、平手くんの体は、立ちくらみを起こしたようにふらついた。
慌てて彼を支えようとするも、こらえきれずに私もろとも倒れてしまいそうになる。
「おっと」
すると、いつのまにか私の後ろにいた鈴本くんが、倒れないように平手くんの体を支えた。
「無理するな」鈴本くんが平手くんに声をかける。
「まだ立っちゃダメ」
平手くんを休ませようと彼をその場に座らせようとした時、「今泉さん」と後ろから声を掛けられた。
振り向くと菅井先輩が私たちのそばまで来ていた。
「こっちに」
菅井先輩はそう言って、奥の方を手で示した。
菅井先輩に従って、鈴本くんと二人で平手くんを支えながらその後をついていくと、ここの少年たちがたむろするのに使っている革張りのパーソナルチェアの一つを勧められた。
鈴本くんと体を支えながら、平手くんをゆっくりとそこに座らせる。首をがっくりと前に倒し前屈みに座った平手くんは、呼吸もまだ荒れている様子で、肩が小さく上下している。
「あの二人は・・・・・・?」
ここの少年たちが使っているものを独断で私たちに勧めるあたり、──それどころか周りのメンバーたちは、私たちを従えて少年らの間を進む菅井先輩に道を開けてさえいた──菅井先輩は彼らとどのような関係にあるのだろうと怪訝に思いながら、私は菅井先輩に訊ねた。
「わからない」
けれども菅井先輩は首を振る。「もうしばらく待っていよう」と落ち着いた口調で彼女は言った。 欅坂×不良学園小説
「どうなるんだろう・・・・・・?」
しばらくざわついていた周りの少年たちも静かになり、闘いの勝敗はどうなったのかという疑問と不安が混じった重苦しい空気があたりに漂う。
私が鈴本くんに問いかけると、「うーん」と鈴本くんは難しい顔をして低い声で唸った。
「完全に途中で遮られたからな・・・・・・」鈴本くんが言う。
闘いは突如声をあげた渡邉くんによって中断された。そのため勝敗は明らかではない。
最後は平手くんが攻撃をかけられる形となっていたけれど、かといって平手くんが気を失った訳でも、負けを認めた訳でもない。
「まだ続くの・・・・・・?」
決着がついていないということは、まだ闘いは続くということだろうか・・・・・・?
だとしたら、こんなにも傷つき消耗している平手くんにまた過酷な闘いを強いることになる。
そんなひどいこと、私には耐えられない。
「わからねえ。とにかくあいつらが戻って来ねえと」
そう言った私に首を振り、鈴本くんはちらりと、志田くんと渡邉くんが消えたフロアの入り口を見遣った。
「・・・・・・」
誰も口を開かない沈黙の時間が流れる。
どれほど経っただろう・・・・・・?
そう思ったとき、不意にガチャ、という音がした。
振り向いてその方を見ると、志田くんと渡邉くんの二人が、扉を開けてこのフロアのなかに入って来た。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています