理佐ちゃんと中学で同級生だったとしたら
当然の如く俺の初恋は理佐ちゃんだ
しかしビビりの俺が理佐ちゃんに告白出来るわけもなく
ただ可愛い理佐ちゃんを見てるだけで満足してる俺
しかし突然別れはやって来た
理佐ちゃんが遠い街に引っ越してしまって淡く消える俺の初恋

それから10数年
サラリーマンになった俺が出張で訪れた北の街
仕事の関係者と打ち合わせを兼ねた飲み会帰りに
一人でゆっくり飲もうと入った小料理屋
そこで再会したのが愛しの理佐ちゃんだ
小料理屋を営む理佐ちゃんは昔より綺麗になっていた
理佐ちゃんと再会出来た喜びを噛みしめながら
カウンターの角に静かに腰をおろす俺
懐かしさから理佐ちゃんは色々話してくれた
結婚したけど旦那さんには先立たれてしまったこと
旦那さんと二人で営んでいた小料理屋を一人で切り盛りしていること
中学の頃の俺の気持ちに気づいてたこと
そん時だけいたずらっ子みたいな笑顔の理佐ちゃん
そんなことを喋ってる間にも
他のお客さんの相手を愛想良く器用にこなす理佐ちゃん
昔の優しいくせに不器用でクールに見られてしまう
そんな理佐ちゃんを知ってる俺は
今の理佐ちゃんを見て
綺麗になったけどその分苦労もしたんだなと思って不覚にも涙
理佐ちゃんへの気持ちが蘇ったせいだろうか
それとも普段泣き慣れていないせいだろうか
とめどなく溢れ出す俺の涙にドン引きする客たち
俺の涙も収まり横隔膜に残る泣き癖だけがヒックヒックと響く頃には
客も居なくなり理佐ちゃんと俺しか居ない店内
「いきなり泣いてんじゃねぇよ」
中学の頃みたいにドスを効かせてくれる笑顔の理佐ちゃん
中学の頃の俺の気持ちに気づいてくれていた理佐ちゃん
そんな理佐ちゃんの前で不覚にも涙してしまうなんて
そして今でも理佐ちゃんを想う俺の気持ちに気づいた理佐ちゃん
なんだか気まずくなってしまったので帰ろうとする俺
その俺の手を握って帰るのを止めた理佐ちゃんは
「まだ早いけど暖簾しまっちゃうね」って優しく言ってくれそうだから好き