0243名無しって、書けない?(大阪府) (ワッチョイ db7b-NqFr [180.63.224.44])
2017/03/04(土) 12:31:55.81ID:IK/0RmfT0「なんで、あいつ怒ってんだろう?」
「わかってあげなよ」
「え?」
「理佐ね、今、必死で取り戻そうとしているの。中学は別々だったんでしょ。
自分の中学校時代を必死で取り戻そうとしているの。ずっと、一緒だっだ
友達と別れるの、どれだけ辛いかわかる?理佐が泣いてるとこ、見たこと
ないでしょ?人前では絶対泣かないからね。慰めに行ってやんなよ。」
とりあえず、謝ろうと思った。志田さんの言葉には妙に説得力があったので、
このままでは、理佐ちゃんが遠くに行ってしまいそうな気がした。志田さんに
礼も言わず、必死で追いかけた。たぶん、屋上にいる。
ドアを開けると、理佐ちゃんは、屋上のベンチに座っていた。
理佐ちゃんは泣いてなんかいなかった。いや、少なくとも今は泣いていなかっ
た。やはり、僕の前では泣かないらしい。
「ごめん」
「どーせ、愛佳に言われて来たんでしょ。」
「うん。理佐ちゃん…」
「だから、りーさー」
「り…りさ、俺ね、理佐ちゃんのこと好きだよ。」
「わかってるよ、今更、そんなこと言われなくたって」
そう、今更だ。今の「好き」が告白ではないことくらい、僕も理佐ちゃんも
わかっている。
「愛佳に謝ってくるよ。ちょっと、からかっちゃったしね。」
「うん。あっそうだ、あの絵、本当に志田さんじゃないよ。」
「いいよ、気使わなくて。愛佳にあげなよ。」
理佐ちゃんは、そう言って階段を降りていった。
青いハンカチが、ベンチに置かれたままだった。幼稚園のとき、僕が理佐
ちゃんにプレゼントしたものだった。「りさちゃんへ」という下手くそな刺
繍がボロボロになり、何と書いてあるか分からない。手に取ると、ハンカチ
は少し湿っていた。たぶん、泣いていたんだろう。
今はハンカチを返さないでおこう。
なぜかって?君はすねて、受け取らないだろう?
来年の7月に新しいハンカチを買ってあげるよ。