結局告白は出来ないままの俺だが
理佐ちゃんとはなんとなく駅で待ち合わせして学校に行き
なんとなく放課後は一緒に帰る日々が続いている
確かに告白はしていないがクラスの皆は付き合ってると思ってるだろうから
いわゆる既成の事実ってやつだ
何より俺が用事で帰りが遅れる時は理佐ちゃんも色々理由を見つけては待っててくれる
超美人の理佐ちゃんが俺を待っててくれる
この一事だけで歴史上どんな偉大な英雄より男として勝ってる俺!
そんな英雄である俺が目指す次なる野望は
当然の如く理佐ちゃんと手を繋いで歩くってやつだ!
しかし、照れ屋な上に警戒心の強い理佐ちゃんは
手を繋ぐことを意識し過ぎて挙動不審な俺にかなり警戒している
思い切って手を繋ごって言ってみたが恥ずかしいからヤダってにべもない返事だ
今日も結局手を繋ぐどころか
どさくさに紛れて手を繋ごうとして理佐ちゃんに怒られてしまった
理佐ちゃんに怒られたままバイトに向かったせいだろうか?
自分でも驚くほどのミスの連続だ
普段からの怠けた勤務態度も祟ってあっさりバイトをクビになる俺
理佐ちゃんは手を繋いでくれないしバイトはクビだし学校の成績も下から3番目だし
こんな時は忍耐で我慢するかヤケを起こして遊び呆けるかの2択だ
元来ダメ男の俺の選択は断然楽な方のヤケだ
こうしてヤサグレた俺は夜の巷へと
しかし、悪い時には悪い事が続くもんで
酔っ払いのオッサンに絡むも返り討ちにされボコボコの俺
ぼろぼろの情けない姿になってしまった俺が夜の公園で黄昏てると
何故か理佐ちゃんが現れた
俺が帰って来ないと聞いた理佐ちゃんが心配して迎えに来てくれたのだ
理佐ちゃんに優しく帰ろうと言われても拗ねて帰ろうとしない俺
困った顔の理佐ちゃん
それでも優しく俺を見つめる理佐ちゃんに不覚にも涙の俺
理佐ちゃんに手を握られて歩き始める俺
夢にまで見た理佐ちゃんの手は
想像してたより柔らかくて何より暖かくて
さっきまでささくれてた俺の心を包み込んで癒してくれる
そんな世界一優しい手だ
こんなに優しいくせに照れ屋な理佐ちゃんは
「せっかく手繋いであげたのに汗ばんでんじゃねぇよ」
ってドス効かせてきそうだから好き