201x年、関西某所の整骨院にて〜

私は教えられた住所に向かった。
院内からズドンドン、ズドンドンと派手な音楽が響き漏れ出している。
内外装は共にネオンが光り、まさに竜宮城だ。
昔のように透明なガラスに各種保険適応などといった文字が並ぶ外装ではない。
全体的に暗めだ。
ディスコやクラブと間違ってしまうところだった。
待合室には豪華なソファが置かれており、テーブルにはソーダ水の入ったビンが氷に冷やされている。
周りには中高年と思しき女性達がグラス片手にソーダ水を楽しんでいる。
薄暗い院内はどこかホストクラブを思わせる。
1人の女性がおもむろに立ち上がり怪しげな照明を全身に浴びながら、バーカウンターのような受付に向かう。

患者「あの…肩凝りで…」

ホスト風揉請氏「肩凝りお一人様入りまあぁぁすう!!フゥー!!
白紙委任、いただきましたーーーーー!!!
あぁりがとうございまあぁぁぁすううう!!」

彼女はスタッフ達にエスコートされて奥のベッドルーム、、、いや施術室に消えていった。
ここは外傷の処置をする場所のはず。
数年前から整骨院のモラル低下が叫ばれていたがここまで落ちるとは誰も予想していなかっただろう。
合格者や開業者を絞れたので乱立は避けられた。
しかし、保険者による適正化により、彼らのモラルはもはや整復不能になっていた。