若い人が自衛隊に入りたくても、入れないという奇妙な現象が起きている。
高校卒業生などを対象にした任期制自衛官の採用枠が激減しているからである。
2万人対800人。前者は昭和48年、後者(予定)は平成22年。
陸上自衛隊の新隊員(2等陸士)の採用数の比較だ。
40年近く前に比べ、若い隊員の採用が25分の1に減っている。
自民党政権時代から、自衛隊の人員を一貫して削減する政策が続いているためである。
しかも民間の雇用情勢が悪化しているため、
2〜3年の任期で採用されている自衛官が任期満了になっても、任期を継続するケースが相次いでいる。
退職者が少ない分、新隊員の募集も控えざるをえない。
今月上旬、沖縄本島より南の宮古島や石垣島で、自衛隊員の募集を担っている防衛省関係者に会った。
かれらは「自衛隊で頑張りたいといってきた高校生をなぜ断らなくてはならないのか」
「骨を折ってくれた校長に合わせる顔がない」などと苦しい胸のうちを語った。
離島での就職は厳しさを増しているだけに、関係者の思いは切実だ。