■ファントム下克上、もうひとつのワケ
 さらに、このF-4によるF-15撃墜にはもうひとつのカラクリがあります。
 2018年現在、実戦部隊に配備されているF-4はすべて「F-4EJ改」という性能向上型であり、レーダーは初期型F-16のレーダーと同型であるAN/APG-66Jに載せ替えられています。
そのほかの電子機器も一新、機体外部に搭載する電波妨害装置はこれもまたF-16にも搭載されることがあるAN/ALQ-131です。
 一方でF-15は、近代改修を受け現代型戦闘機と同等のF-15MJと、1980年代の導入からほとんど性能向上を受けていないF-15SJの2タイプに分けられます。
そしてF-4に負けることが珍しくないF-15とはF-15SJであるようです。
 現代戦闘機は、電子機器とコンピューターソフトウェアに優れていたほうが勝利者となります。F-4EJ改はF-4といえども中身はほぼ初期型のF-16です。
そしてF-15SJも初期型のままですから、F-16(相当) vs F-15であると考えると、F-4側が戦術の差で勝利できることがあってもおかしいことではないのかもしれません。
2018年2月現在、航空自衛隊のF-4EJ改はすべて茨城県の航空自衛隊百里基地に配備
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 近代化改修でF-4もF-15相当になれるのですから、この際、退役なんてさせずにもう一度電子機器を再近代化した「F-4EJスーパー改」を開発し、あと40年は現役を続けてほしいと思うのは筆者だけでしょうか
 ただF-4は構造上の寿命からかなり腐食が進行している機体も少なくないようであり、実現の目は無さそうです。残念