懲戒退校処分となった5人の元防大生に近いある学生は「すでに任官して幹部自衛官となった先輩OB、OG、ほかの現役生にも、
架空請求で保険金を手にした者がいるにもかかわらず、彼らだけが厳しい処分を下されたのには納得がいかない」と話す。
防大では9月27日、事件に関与した5学生の懲戒退校処分を発表した。
しかし、この日以降、防大では真相究明に向けた調査はなんら行っていないようだ。
政権与党の参院議員は、「防大の組織はよくわからないが」と前置きした上で
「一般に、大学でこうした不祥事案の対処をするべきは、学長以下、学生部長や総務部長といった役職ではないか。
保険金詐欺を行うが学生を生み出した下地となる環境をつくった原因を明らかにしなければならない。
長年にわたる悪弊ならば、これは上層部にも責任がある」とし、そうした責任の所在についても徹底追及すると述べ、
事は政治の場へと持ち込まれる可能性も帯びてきた。
事実、野党各党にも、この事件に関心を示す国会議員は少なくない。
「今のご時世、もしなんらかの不祥事が発覚したならば、これは隠すのではなく、すぐに国民の皆様に明らかにし、そのご判断を仰ぐのは当然。
たとえ、その場では隠せても、後で隠したことが発覚した場合、もう目も当てられない状態となる。
情報公開し、関係諸機関の協力を仰ぎ、素早く対応したほうがいい」(野党議員)。
これらの声を受けて、防衛省の高官は「組織として、事件を収拾するのは当然。
しかし、大きな事件になる可能性が高いものを隠蔽しようとする者がいたならば、
その者の責任は厳しく問われることになる」と、語気を強めて語る。
防大は、保険金詐欺事件のほかにも、高位の役職に就く職員による女子学生へのセクハラ疑惑も囁かれるなど、闇はまだまだ深い。