私は今生きてることが不思議なくらい毎日どうやって死ぬかばかり考えていた
本屋さんに自殺マニュアルという本があった
買ってうちでよく読んだ
絶望しかなかった
涙っていくら出しても終わらないんだってことも知った
心が極端に弱ると体にも影響するんだなということも知った
廃人のようだった
笑うことができない
感情というものが分からなくなった
何も感じない
美しいものを見てもなんとも思わない
何も感じない
うれしいってなんだっけ?
楽しいって思い出せない
心が閉じて何も感じない
毎日死ぬことばかり考えていた
夜道を歩いていて風が吹いた
その時ふと気付いた
死んだらこの気持ちのいい風を感じることはなくなる
空を見上げた
死んだらこの美しい月を見ることもできなくなる
そのためだけでも生きていたいと思った
おれは生きていていいんだな
そう思った
神はまだおれを生かそうとしている
だからおれは生きている
生き死には神が決める
おれが決めることではない
こう考えて今に至る
死ということを考えて考え抜いたから
今生きている
生きていることの大切さに気付けた