楽しい事かどうか解らないけど、写真撮影は断固拒否してる

俺が3歳、兄が8歳の時に両親が離婚
母が家を出て行った、というか継母に追い出された
物心ついた頃には家のアルバムに俺の乳児期の写真は1枚も無くて
4歳の頃に撮ってもらったのが自分が写っている最も古い写真だった
一方で兄の写真は乳児期から小学校低学年まで20枚以上あった
内心「兄ちゃんばっかりズルい」とか思ってたんだ

俺が小6の時、兄から生活態度を注意される事があってさ
そんな大した悪さはしてないが、やれ机の上を片付けろとか、
飼い犬の世話をしないで遊び呆けて一体どういうつもりだとか
そのうち兄が次第に感情を昂らせて、泣きながらこんな事を言った

「母さんが家を出て行く時、お前の写真だけを持って行って、
俺の写真は手付かずで残ってた……何で俺だけ……」

俺は途方も無い衝撃を受けた
自分の写真が少ない事を不満にすら思っていたのに、
その陰で兄が傷付いて長い間苦しんでいた事実を俺は知らなかった
多分、今でも俺以外誰も知らないんだろうと思う
普段優しい兄が初めて見せたあんな姿、今でも忘れられない

それ以来、自分の写真がこの世に存在する事に抵抗を感じる様になった
会社のイベントなんかで集合写真撮る時も故意に外れる様にしてる