騎牛帰家
鬼和尚よ、余は牛和尚であるぞよ。
鬼和尚よ、余の牛和尚という名が羨ましいか?
よいか、ぬしゃあ悟りを得たと言っておるが、それは十牛図では「得牛」なのじゃ。牛は悟りなのじゃ。
悟りを得た。つまりまだ第4段階なのじゃ。よく考えても「騎牛帰家」つまり心の平安が生まれて悟りと自分が一体になった段階。
つまりまだ第6段階なのじゃ。
さらによく考えてもついに「空」の境地に達した。つまり「人牛倶忘」という第7段階なのじゃ。
鬼和尚よ、ぬしゃあ悟りを得て、心が平安になり悟りと一体となって空の境地に達した段階にまだおるのじゃ。
鬼和尚よ、巷に出て民衆とともに楽しく暮らす最高の境地に達したのは牛和尚である余だけなのじゃ。

鬼和尚よ、汝は鬼和尚という名と牛和尚という名と、どちらが優れていると考えるかな?
鬼和尚よ?
げらっげらっげらっげらっ。