――ヒクソン、あなたはとても親日家だとうかがいました。

 ああ。私が初めて日本を訪れたのは、今から15年ほど前のことだ。
それまで私が日本に抱いていたイメージは、武士道、強さ、礼儀、おもいやり
そんなものばかりだった。ところが日本に来た私は失望した。
確かに深い尊敬の心を感じたが、それは強さや精神力ではなく、
むしろ弱さから生まれるものだったからだ。
いくら尊敬の心を感じ、
厳しい規律を目にしても、そこにはなぜか強さがまったく感じられなかった。

――「弱さ」というのは、どういうことでしょうか?

 言い換えるなら、人々がシャボン玉の中で暮らしているような気がする、ということだ
おもいやりの心が感じられても、 それは他人の人生を邪魔したくないと
怖がっているからだったり、他人の意見を聞きたくないからだったりする。
 私は日本が大好きだ。少なくとも文化についてはそう言いきれる。
しかし、その弱さをを少し残念に思っているのだ。